不動産のレバレッジはFXと何が違うのか --- 内藤 忍

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借入をして自分の所有金額以上の投資をするのが「レバレッジ」投資です。金融商品の代表的レバレッジ投資商品はFX(為替証拠金取引)、そして不動産投資でも同じようにレバレッジをかけた投資が可能です。同じレバレッジですが、2つには大きな違いが存在します。

日本国内では、FXのレバレッジは25倍に規制されています。25倍のレバレッジをかければ、例えば40万円の資金で1000万円分の為替リスクを取ることができます。少ない資金で大きなリスクを取ることができ、資産が少ない人でも資産を増やすチャンスを手に入れることができます。しかし、そのリスクはかなり大きくなります。

為替が1%変動すると25%資産が動くことになります。想定していた為替の動きと逆方向にいけば、4%動いただけで、資産が全額失われてしまうことになります(実際にはその前に強制ロスカットが執行されて、ポジションがFX会社によって自動的に閉じられます)。米ドルであれば4円~5円為替が動いただけで、資産がほとんどなくなってしまうということです。

では、不動産の場合はどうでしょうか。40万円の自己資金で1000万円の物件を購入した場合、毎月の家賃収入を受け取りながら、ローンの返済を行っていくことになります。レバレッジは同じように25倍ですが、大きな違いは不動産の借入の場合、物件価格が下がっても強制ロスカットされることが無いということです。

不動産担保のローンの場合、毎月の決められた元利均等の返済金額を予定通りきちんと返済していれば、物件の価格が例え半分になったとしても、借り続けることが可能です。もし空室になって、家賃が入らなくなった場合でも、自己資金で毎月のローンの支払いをしていれば、短期的には問題ないということです。

リーマンショックのような、マーケットの急激な変動があった場合、FXのような金融商品では評価損が発生することで、運用が続けられないリスクが発生します。ところが、不動産投資の場合は、物件価格に関係なく返済が予定通り続けられれば、投資を続けることが可能なのです。

ローンを使って不動産投資をする場合は、「時間を味方に付けることができる投資」ということができます。長期的に投資先の不動産に価値が無くなってしまえば、問題ですが、一時的な価格の下落や空室は致命傷にはならないのです。その後環境が改善して価格が再度上昇したり、賃貸需要が回復すれば、投資を続けることができます。

不動産投資でレバレッジをかけるのは、金融商品のレバレッジとは大きな違いがあることがわかります。

当然のことながら不動産投資には金融商品とは異なるリスクもありますから、一概にどちらがリスクが低いと結論つけることはできません。しかし、不動産に比べ金融商品はレバレッジをかけることのリスクが大きく、FXの場合、短期の為替相場変動率を考えれば、せいぜい3倍程度のレバレッジが限度ではないかというのが、私の個人的見解です。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。