上司の指示はなぜ具体的にしなければいけないのか

2016年01月12日 06:00
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「仕事は部下に考えさせるべきだ」「具体的だと指示待ち人間になってしまう」「仕事は自主性を重んじるべきだ」このような話しを聞いたことがある人は多いと思います。例えば上司から資料作成の仕事を受けました。書類を作成して上司に渡すと「なんだ、この資料は」「こんなものを頼んだ覚えはない」と怒られた経験のある人はいませんか。

●指示は具体的でなければいけない

曖昧な指示は責任の所在を曖昧にさせます。ですから指示は具体的でなくてはいけません。あえて曖昧な指示をして部下に仕事のイロハを教えるという上司が居るかも知れませんが、なにか問題が生じた時のリスクのほうが高くつきます。指示するほうは、仕事を具体的に指示しなくてはいけません。受けるほうも、具体的に指示を受けなくてはいけません。
 
上司から依頼があった仕事を「やり方は任せた」と言われてやっている人は多くはありませんか。仕事は依頼するほうも具体的でなければいけませんし、受けるほうも具体的に確認しなくてはいけません。指示したつもりが勝手に判断してやったことで、見込みとは違う結果になってしまうことがありますよね。特に若い部下ほど暴走してしまうことがあります。

私がコンサルティング会社に在籍していた際のことです。若い部下の山下君(仮名)が上場企業から仕事の依頼を受けてきました。ところが、私の日頃の指示が具体的でなかったせいもあり、価格交渉が不充分にも関わらず依頼を受けてしまったのです。

私は山下君にこう言いました。「よく頑張ってコンサル業務の仕事を受けてきたね。でも、このクラスの上場企業にしては少し価格が低めだね。山下君の成果はちゃんと評価として考慮するから、一旦、僕に預けてもらっていいかな?もちろん上手くいかなかった場合の責任は僕にある」

この時のポイントは「成果を評価して労うこと」「その後の責任は自分がとる」の2つになります。山下君は「任せます」とのことでしたのですぐに交渉の連絡を入れました。

尾藤:このたびはお仕事の依頼をいただき誠に有難うございます。
先方:こちらこそ宜しくお願いします。
尾藤:念のために確認させていただきたいのですが宜しいでしょうか。御社からご提示いただいたフィーはこちらで間違いはございませんか?
先方:はい、その通りですが、何か?
尾藤:私は構わないのですが御社クラスのご依頼でこのような提示は初めてだったので念のために確認のお電話をさせていただいた次第でございます。もしや何かの手違いかと思ったものですから。
先方:ちなみに相場はどれくらいなのでしょうか?
尾藤:詳細を確認しないと確かなことは申し上げられませんが、他社様のケースでは4~5倍ではないかと思います。
先方:社内でもう一度検討させてください。
※その30分後に連絡があり、当初の5倍で落ち着きました。

●「任せた」は都合の良い依頼方法

私が日頃から指示を明確にしていれば防げた事案です。山下君も自分では処理できない案件なら具体的な指示を仰ぐべきだったのです。また「任せる」というのは非常に都合の良い言葉です。「やり方は任せた!君のやりたいようにやってくれ」。その言葉の裏には、やり方は任せたわけですから、失敗すれば「どう責任をとるんだ」「君が任せて欲しいというから任せたんだろうと」詰め寄ればいいわけです。

成功したら「君はやると思っていた」「任せたかいがあった。これからも頼むよ」としておけば、手柄は自分のものです。いずれにしても「任せる」という言葉は双方にとってあまり好ましい結果を生まないものです。

指示はなるべく「具体的に聞いてください」。そして自分が指示する場合も「具体的に指示をしてください」。そこさえできていれば窮地に追い込まれることはありません。

尾藤克之
経営コンサルタント

尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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