満面の笑みでスポイルする技術

2016年01月20日 06:05
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社内でトラップはつきものです。出世や昇進を取りつけたり、有利にコトを運んだりするためには、相手を蹴落とすためのトラップが必要になる場合があります。企業においてトラップを仕掛けられるのはたいていは管理職です。上のポストが少なくなるにつれて競争が激化するからです。

管理職なら、充分に注意しなくてはいけません。たとえばこんなトラップがあります。「これ頼むね。やり方は君に任せたから。期待しているよ!!」。一見、トラップには見えないかも知れません。用意周到にデコレーションされているから、見た目には分かりません。ですが、 上司から、このように指示されたらトラップの可能性が高いです。このような場合、「なぜ自分にその仕事が来たのか」を深く読まなくてはいけません。
 
上司はミスをしたくないものです。一方で手柄や成果は大いにアピールしたいものです。ミスをしなくない上司が上にいればいるほど、トラップの数は増えてきます。また会社の体質もあると思います。減点方式の会社の場合、仕事のミスは昇進昇格、キャリアに影響を及ぼす場合があります。

このような組織であればミスはできませんから、社員からチャレンジング意識は欠落していきます。ミスをしないような仕事ばかりをやるようになり、思考も安全思考に陥っていきます。

お役所体質の会社や重厚長大型の歴史のある会社にはこのようなところが多いのではないかと思います。逆にベンチャー企業のようにチャレンジングな姿勢を推奨する会社であれば多少のトラップは怖くありません。

今回のケースは「やり方は君に任せたから」という部分が問題なわけです。やり方を任せているわけですから、失敗したらどうなるでしょうか。「君に任せたけど、やり方を許可した覚えはないぞ!君のやる気を見込んで任せたのにとんだ期待はずれだったよ。下がりたまえ」。このようにスポイルされて終わりでしょう。

逆に成功したらどうなるのでしょうか。「僕は最初から君ならやってくれると確信していたんだよ。だからあえて細かい指示も出さなかった。上手くいって本当に良かった」。全ての手柄を上司に一人占めされて、結果的に評価されるのは上司でしょう。上司は過去に何らかの実績が評価されて役職者になっています。仕事が一人ではできないことや社内に味方が必要なことも痛いほど知っています。

自分にとって有能な部下、絶対に守らなくてはいけない部下には、トラップの危険性がある案件は振らないものです。その部下がいなくなったら困るのは上司ですから。そのような場合は、守らなくても良い部下、どうでもいい部下にトラップの危険性がある案件を振るはずです。それが最大のリスクヘッジになるわけです。

仕事を受けるまえに仕事の中身と要素を確認しなくてはいけません。もし具体的に仕事の中身が明示されずに曖昧であったら、それは受けてはいけません。「お引き受けできません」と明確に拒否すれば良いのです。

失敗確率の高いトラップを振ってくる時点で、軽視されているも同然なのです。トラップをあてがってくる上司には、既にうまくいかなかったときのシナリオがあるものです。拒否すれば、よほど辞めさせようとしていないかぎり、上司も諦めてターゲットを変えるものです。

しかし一方で、受けたふりをしながら水面下でトラップを返す方法もあります。例えば、今回のような仕事を受けるのであれば「具体的な仕事の対応方法、求められる仕事の水準、期限」などについてまず詳細に確認しなくてはいけません。

面倒なヤツと思われても仕事を成功させるために必要だといえば上司も無視はできません。そして逐一その上司に進捗を報告して指示を仰ぐようにしてください。トラップ案件であっても上司も一蓮托生にしてしまえばそうは簡単に失敗できません。

仕事が成功しても失敗しても一蓮托生なわけです。むしろ失敗した場合は、上司としての責任を問われますから被害は上司のほうが大きくなります。「こいつ、手ごわいヤツ」と思わせたら勝ちを手にすることができるはずです。社内政治を制するには日々の鍛錬が必要です。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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