職場の声に耳を傾けよう!施行1ヶ月で何が変わったか

2016年01月21日 00:30
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ストレスチェック関連セミナーで講演する岡田氏。

メンタルヘルス対策の強化を目的として、従業員数50人以上の全ての事業場にストレスチェックの実施を義務付ける「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が2015年12月1日に施行されました。施行1ヶ月を経過して企業や従業員の理解は深まったのでしょうか。

「ストレスチェックを理解して定着させるためには経営層のリーダーシップが必要です」とYSメンタルヘルスの岡田基良社長は指摘します。今回は、運用のポイントについて伺いました。

●ストレスチェックは機能化させなくてはいけない

—義務化にともない企業の対策が急がれています。

岡田基良(以下、岡田) ストレスチェックを義務化しても従業員にその意義が伝わらなければ意味がありません。従業員自身がストレスチェックの必要性を認識して自らの心の健康管理を率先して行うことができる環境づくりが必要です。職場に存在するストレス因子は様々な影響によるものです。自らの努力だけでは解決できない場合が少なくありません。

特に上司には業務を強制させ、指揮・命令を行うための権限が与えられています。そのため、部下の働く環境にも配慮をしてストレス要因を把握しなくてはいけません。上司は部下の安全を確認する必要性があるのです。これは安全配慮義務というものです。

—ストレスチェック実施の際の留意点があれば教えてください。

岡田 ストレスチェックは設問には正誤はなく受験者の現状を投影するものです。自分がストレスを抱えていて精神的に限界に達していたとしても自己申告なので問題がないと回答すれば発見することはできません。設問から結果を読み取れない設計にしたり、ライスケールの精度を高めるなど品質を高めていく必要性があると思います。

●ストレスチェックの結果は人材育成に活用すべき

—ストレスチェックの定着化は簡単ではなさそうですね。

岡田 以前からストレスチェックを実施している企業もたくさんありました。ですが結果を上手くマネジメントに活かしていたかというと疑問です。例えば、採用の場面では、対象者の性格やポテンシャルを測定するための検査がたくさん存在します。本来であれば、採用時の検査結果などは、その後の人材育成に役立つと思いますが有効活用されているという話はあまり聞かないように思います。

また検査と聞くと、すぐに考課に影響を及ぼすような印象を与えてしまいますが、ストレスチェックは労働者のセルフケアを改善するために実施するものです。考課にはまったく影響を及ぼさないことを周知徹底しなくてはいけません。また個人情報ですから情報の取り扱いにも留意する必要性があるでしょう。

●施行1ヶ月で見えてきた課題とは

—施行1ヶ月で何か変わったことはありますか。

岡田 企業、従業員双方の関心度は非常に高いと思います。先日行った調査結果を見ますと、肯定的意見と批判的意見が拮抗しているように思います。肯定的なものとしては「国として取り組む姿勢を明確化したことは悪いことではない」「精神疾患に対する施策が従来は限定的であったが選択肢が拡がった」などの意見がみられます。

一方、批判的なものとしては「人事部は人員は削減傾向にあるので新しい施策の導入は負荷にしかならない」「そもそも経営層が重要性を認識していないのだから導入は時期尚早である」「経営層から下りてくる要件は最低限のコストで法令遵守をしておくように指示があること。これでは本末転倒である」といった意見がみられました。

ストレスチェックを機能化させることは企業にとってコストではなく将来に向けた投資と考えなくてはいけません。従業員にとっても自らの仕事ぶりを検証するよい機会だと思います。今後は、企業のメンタルヘルスの理解度が促進されることでしょう。ストレスチェックの手法も多様化してくると思いますが、働く環境が改善することを期待したいと思います。

—ありがとうございました。

施行1ヶ月を経過し幾つかの課題はあるものの動きはじめたストレスチェック。今後の動向に注目が集まりそうです。

尾藤克之
経営コンサルタント

尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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