仕事は走りながら考えない。迷ったら「すぐ立止まる」

2016年01月26日 06:01
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「走りながら考える」という言葉があります。「立止ることは時間のロスにつながるから走りながら考える」「走りながら考えるからダメなんだ。ちゃんと考える」。恐らくこの2つの意味で使用されることが多いと思います。

●走りながら考えるは正しいか

私自身、この言葉は耳にタコが出来るくらい聞いてきましたし、それを正しいと思って実行した時期もあります。ですが、いま「走りながら考えることは無駄」だと断言することができます。

タイムマネジメントは登山に例えるとわかりやすいといわれます。山登りの途中で道に迷ったら、歩きながら考えることはできません。まず立ち止まらないといけません。静止して立ち止まり、自分がいる場所、目的地を再確認します。そのうえで、目的地にたどり着くための効果的な方法を見つけ出して再び歩き出すことが最善の策です。

日常においても、忙しく働いているときに、新しいアイデアを思いつく、なんてことはそんなにはないはずです。いいアイデアが出てくるのは、ほっと一息した瞬間、コーヒーを飲んでくつろいでいる時や、お風呂に入っているときなど、気持ちが和らいでいる時だと思います。

行動は重要です。行動がなければ、結果は出ません。ですが、間違った方向へ行動してしまったら、その時間はムダになります。行動をする前に、何をやるのか、それは目的にかなっているのかをじっくり考えることが重要です。
 
●それには高レベルなスキルが必要

走りながら考えるには高レベルなスキルが必要とされます。それは極めて高レベルなストレス耐性です。ストレス耐性の強い人とは単にストレスを感じない人ではありません。ストレスに起因する脅威を感じても、それを冷静に分析して「ヤリガイ」に変換できるような人のことです。

そのような人には幾つかの特徴があります。それは人間関係の不調をストレスにしないことです。そのため、人間関係に不調をきたすエラーやセンサーが研ぎ澄まされています。仕事のストレスの多くは人間関係に起因するものですが、不調をきたす前に取り除き解決を図ることができます。

一般的に人は強いストレスに継続的にさらされると行動する意義を失います。そして「何も変わらない」と感じるようになり孤立するようになります。会社のなかで部下を怒鳴り散らかしている上司は多く、経営者自身が上司のそれを推奨している場合も多いと思います。部下を精神的に追い込んで有能な人材をダメにする上司はどの会社にも存在します。

いまでは、部下を追い込む上司は組織の精神的ストレッサー(ストレスを引き起こす因子という意味)として、社員のやる気を阻害し、組織力を低下させる存在として認識されています。高レベルなストレス耐性の持ち主であれば、精神的ストレッサーを味方につけて、組織力が低下する影響度を理解させて行動を変容させることができるでしょう。しかし、このような人材は滅多に存在するものではありません。

●なぜ立ち止るのか

いま、企業を取り巻く環境は大きく変化してきています。過去のように規制が制限されている時代とは異なって、不確実性の強い市場原理のもと事業展開を図ってくる環境へと変化しているからです。そのような環境下においては不確実性に対処する技能や能力がその企業の盛衰に大きな影響を及ぼすことになります。

だとすれば、非合理的な側面を極力排除してある種の合理性に基づいて行動する仕組みを形成しなければいけません。その一つが「立ち止る」ことです。不毛な戦略を策定したり、戦略を遂行する組織を設計したり、先のことを考えるのではなく、目の前に集中するほうが得策だということに気がつくはずです。

尾藤克之
経営コンサルタント

尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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