組織と個人の双方に効果が期待できるストレスチェック

2016年02月10日 01:51
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インタビューに答える岡田氏。

内閣府の調査によれば、平成26年中における自殺者の総数は25,427人と公表されています。若干の減少傾向にあるともいわれていますが、年間に約3万人が自ら命を絶つという現実が存在します。

3万人と仮定すれば、毎日80人弱が自らの命を絶っていることになります。予備軍を含めたら何倍にもなるでしょう。これらを予防する目的として導入されたストレスチェックには社会的意義があると考えられます。

「ストレスチェックは会社と個人の双方に効果が期待できる重要な施策です」とYSメンタルヘルスの岡田基良社長は指摘します。今回は導入のポイントについて伺いました。

●関心度が高いメンタルヘルス対応

—いま多くの会社でストレスチェックが話題になっています。

岡田基良(以下、岡田) 2014年度、精神疾患の労災認定者497人のうち、未遂を含む自殺者は99人となり過去最多です。最たる原因は、長時間労働と職場の人間関係に起因するものだと考えています。12月に施行された「ストレスチェック」の義務付けは非常に大きな一歩だったと考えることができます。

この制度は義務違反しても刑事罰にはなりません。しかし従業員から訴訟を起こされるとブラック企業という悪い印象が広まってしまいます。また、メンタル不調が原因による事故が発生して損害賠償請求を起こされた場合、企業イメージの低下は免れません。そのためメンタルヘルス対応は、企業防衛のリスク対策としても不可避と考えられます。

—今後、どのような対策が必要とされますか?

岡田 ストレスチェックを最低限の義務ととらえるのではなく、精神疾患が起きる状況を未然に防止して、社員が働きやすい快適な職場づくりの構築を目指さなくてはいけません。それこそが、個の戦力化と組織力向上につながるからです。そのためには、職場の人間関係において、それまでネガティブにとらえていたような考え方を、刷新する必要性があります。

これを実現するためには、心理学でいう「ポジティブ・リフレーミング」という手法が効果的です。端的にいうとネガティブな感情を抽出しポジティブに置き換える作業です。この作業に周囲との調和が生まれ、業務がスムーズに進行できるようになるはずです。

●「うつは治る」という前提で接すること

—企業はメンタル不調者にどのように接することが望ましいですか?

岡田 メンタル不調者の多くは医師から「うつ」と診断を受けて人事に面談に来ます。本人は、もう会社員生活が送れないのではないか、生活が破たんしてしまうのではないかという恐怖心を持って来るわけです。

一方、面談する側は腫れ物に触るような面談をします。そのような態度は本人に伝わってしまい、ますます絶望感にとらわれてしまいます。事実、うつになった社員には、穏便に退職してもらう方向で働きかける企業も少なくありません。

私は、「うつは治る」という前提で接することが重要ではないかと思います。グループに内包されている「YSこころのクリニック(心療内科・精神科)」では、うつの寛解率は80%以上です。「大丈夫ですよ。少し休めばうつは治ります。ですから、経歴に傷がつくようなこともなければ、今の立場が務まらなくなるということもありません」と勇気づけると、それだけで相手は明るく元気になるのです。

企業の業績向上とメンタルヘルスは密接に関係しています。従業員に寄り添いながら、丁寧に働きかければメンタル疾患は予防できるものと考えています。今後、社内におけるメンタルヘルスに対する理解度が促進されることを期待しています。

—ありがとうございました。

ストレスチェックの施行には至ったものの解釈にはまだ温度差があるようです。見えにくいストレスチェックの方向性ですが、会社と個人の双方にとって望ましいものになることを願わずにはいられません。いま各社の取り組みに注目が集まっています。

尾藤克之
経営コンサルタント

尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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