「民主+維新」それでも勝てない。データで参院選予測 --- 選挙ドットコム

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民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は26日に会談し、3月中にも両党が合流することで正式に合意しました。社民党など他の野党にも参加を呼びかける方針ですが、思惑通りに野党勢力の結集で安倍政権に対抗することはできるのでしょうか。過去のデータを用いて獲得議席数を大胆に予測しました。

参院選の選挙制度は都道府県ごとの選挙区と全国比例の組み合わせ。参議院は全定数242のうち半数ずつを入れ替える仕組みで、1回の選挙で選ぶ121の定数のうち選挙区が73、比例代表が48となっています。

今回は一票の格差是正のため、史上初めて選挙区で「合区」が行われました。これまではどんなに人口の少ない県でも定数1が与えられていましたが、鳥取と島根、徳島と高知の4県については、隣接する2つの県で定数が1となります。

ほかにも東京の定数が5から6に、愛知と兵庫が3から4に、北海道と福岡が2から3に増えるほか、宮城、新潟、長野の定数は2から1に減ります。

勝敗を決する「1人区」

さて、参院選の勝敗を左右するのはこの4県を含めた「1人区」、つまり定数が1の選挙区です。定数が2以上あれば与野党で議席を分け合うことになりますが、定数が1だとゼロかイチか。衆院の小選挙区のように勢いのある政党が「総取り」し、得票数以上に結果に差がつくのです。

実際に民主党が大勝し、政権交代の流れを作った2007年の参院選では、29の1人区のうち17区で民主党が勝利。 自民党が勝ったのは6区にとどまりました。

逆に民主党が政権を明け渡し、安倍政権の勢いが加速していた2013年の参院選では31の1人区のうち、自民党が29区で勝利。与党の大勝につながっています。

今回の1人区は鳥取・島根選挙区と徳島・高知選挙区を含めて32。与党と野党、どちらがいくつ勝利するのか。ここでは総務省が公表している政党別の得票データを基に、各選挙区の勝敗を予測してみました。

今回は直近の国政選挙である2014年衆院選の都道府県別得票数データを活用。野党がバラバラに戦った場合、野党が結集した場合、そして結集した野党に国民への期待が集まった場合の3パターンでシミュレーションします。

維新の党は2015年に分裂しているので、今回は半数を現在の維新の党、残りの半数をおおさか維新の会に振り分けました。そして野党が結集した場合は自民、公明に加えておおさか維新の会と次世代の党は与党に、民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党は与党に配分。野党に国民の期待が流れた場合は、与党全体の得票数のうち15%が野党に流れたと仮定しています。

野党結集することで巻き返しの可能性もあるが…

その結果、

野党がバラバラに戦った場合、32の1人区すべてで自民党候補が勝つとの結果に。

しかし、野党が結集すれば岩手、長野、沖縄の3区で野党候補が逆転。

さらに野党に国民の期待が集まれば14区で野党が勝つとの結果が出ました。

つまり、野党が結集すれば一部の選挙区で巻き返すことができますが、野党が与党に「勝利する」のはかなり難しいという結果です。野党の勝利を実現するには与党がよほどの失態を犯すか、野党が政策面などで国民の強い関心を引き寄せる必要があります。もちろん選挙は水物ですし、今回のような単純なシミュレーションでは測りきれない部分もあります。

新党の代表に就く岡田氏がどんな戦略を考え、実行していくか。しばらくはその手腕を見守りたいと思います。

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yamamoto山本洋一:元日本経済新聞記者
1978年名古屋市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。政治部、経済部の記者として首相官邸や自民党、外務省、日銀、金融機関などを取材した。2012年に退職し、衆議院議員公設秘書を経て会社役員。地方議会ニュース解説委員なども務める。
ブログ:http://ameblo.jp/yzyoichi/


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年2月29日の記事『こんな状態で、それでも選挙やりますか?誰にでもわかる「一票の格差」徹底解説』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。