産業転換を恐れるな! --- 井上 貴至

いかに補助金を取って配るか、というビジネスモデルはそろそろ終焉を迎えざるを得ない。

■財務省によると、平成27年度の国債残高は808兆円になる見込みだ。これから高齢化に伴い、社会保障費等の自然増が続く一方、生産年齢人口の減少に伴い、税収の増加は見込めない。近年は、毎年40兆円程度国債が増えているが、国債残高の増加には限界がある。いつまでも借金を続けられるわけではないだろう。

■財政収支を改善するときに取りうる選択肢は限られている。地方への補助金は1番に削られるだろう。

■そうなると、補助金に依存していればいるほど、打撃を受けることになる。そうなったときに、補助金に依存した産業や地域を転換することは相当難しい。まだ力がある今のうちから、次の時代を見据えて動き出した方がいい。

■長島大陸は、世界一のぶりの産地。もともとは、いわし漁の基地だったが、いち早くいわしを餌にぶり養殖に転換した。東町漁協のモットーは、「現状維持はあり得ない」。生の餌からEP(機械で処理した固形飼料)に転換、全国で初めて厳格なEUのHACCP認証を取得、昨年は漁協として初めて株式会社JFAを設立した。

■大切なことは、いわしが大量に獲れているうちからぶり養殖に転換したこと。早く転換したからこそ世界一のぶり産地になることができた。いわしが獲れなくなってからぶり養殖に転換したのでは、今の長島大陸はなかっただろう。

■一方、いわしが獲れなくなってきても、いわしを追い求めていた地域は衰退を余儀なくされた。いかに補助金を取って配るかというビジネスモデルは、かつてのいわし漁と同じ道をたどるだろう。いわしが獲れなくなって慌てるのでは遅すぎる。

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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年3月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。