「同一データ・変動料金」の結婚相談所というサービス

2016年03月25日 06:01

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結婚情報サービスとは、結婚希望者を会員として登録し、会員のデータを元にコンピュータを利用して結婚相手を紹介する業態を指します。私自身が、結婚情報産業に関連するサービスやコンサルティングを提供してきたことがあり、情報を求められることが多いので分かりやすくまとめてみました。今回は、主に結婚相談所に焦点をあててみます。

●結婚情報サービスのメリット

結婚情報サービス会社に申し込む際には、あらゆる公的データの提出が義務付けられます(戸籍抄本、納税証明書、給与明細、誓約書など)。合コンやパーティなどでは、個人の情報ソースを確認する術はありませんが、その点は明瞭といえるでしょう。自分の希望する会員に申し込むことで婚活をはじめることができます。

顧客の信頼性を高めるための、様々な施策もみられます。提供するサービスの信頼性を審査して認証するための専門機関を立ち上げたり、マル適マークの認証はその顕著なものといえます。独自の自主規制基準を制定している団体も少なくありません。

●業界に課せられた課題

一方で、結婚情報サービスはトラブルが多い業種ともいわれています。国民生活センターでは特定商取引法の対象としており、役務提供事業者に対して、書面交付義務、不適切な勧誘行為の禁止、クーリングオフ、中途解約時における損害賠償額の制限等の規制が適用されています。

特定商取引法を遵守する義務がありますから、クーリングオフ、中途解約、退会については遵守しなくてはいけません。「成婚率90%」「会員は上場企業の管理職が8割」などの広告を流している業者も要注意です。人と人との出会いをマッチングさせるデリケートなサービスを取り扱っていますから、成婚率90%などと表示することに意味がありません。適切なサービスを提供することで成婚率がUPする性質のものではないからです。

証券会社や投資会社が「儲かります」といえないことと同じで、結婚情報サービスも「絶対、結婚できます」とはいえません。入会者は結婚できる可能性に対して対価を払いますから、成果が芳しくなかったり不快な出来事があればトラブルは増えてきます。

●サービス体系とレベルは

ここからは、結婚相談所に焦点をあててみます。結婚相談所で使用される会員データは基本は同じ(同一データ)で、提供する金額はバラバラ(変動料金)です。つまり「同一データ・変動料金」ということになります。

同一データであるのにも関わらず、サービスレベルに差異が生じるところが、相談所の差別化ポイントであり興味深いところです。イニシャルで年間費数十万円が掛かる相談所もあれば、年間費無料でマッチングした件数のみ掛かる相談所もあります。また情報修正や写真差替えに費用が掛かるところもあります。成婚料も、5万円~20万円など幅があります。

そう考えると、申し込む時点で相談所を吟味して比較検討する必要性があります。優良な相談所を見分けるポイントは、2つあると思います。1つは申し込む側にとってリスクが少ないこと。登録時の初期費用や月額フィーが安いところは、成婚率が高くマッチングに自信をもっているので優良相談所と判断することができます。

もう1つは、カウンセラーの力量です。使用するデータベースは「同一」ですから、あとは相談所の実績やカウンセラーの力量が差別化のポイントになります。ベテランのカウンセラーが切り盛りしている相談所や、プロ意識の高いカウンセラーを揃えている相談所は優良と判断することができるでしょう。

●今後に期待される役割

結婚相談所を含む結婚情報サービスのビジネスモデルを理解するには、人材紹介ビジネスとの比較が分かりやすいと思います。結婚情報サービスにとって、婚活者はお客様でありキャンディデートです。マッチングを取り持つ婚活カウンセラーは人材ビジネスでいうキャリアカウンセラーに近い存在になります。

採用であれば、就職したにも関わらず、新しい環境に適応できずにやる気が減退する症状として5月病が存在します。結婚の場合は、最初は期待に胸を躍らせていた結婚生活も良い面ばかりではなく、「本当にこの結婚は正しかったのか」と疑問を持つようになるマリッジブルーがあります。

また会員のマッチングには、カウンセラーの役割が重要になります。会員同士の効果的なマッチングを実現するには、結婚に関する専門的な知識・スキルが必要とされ、高いレベルのコミュニケーション能力が不可欠です。単なるお相手探しではなく、会員の人生設計、キャリアプランなど様々な局面に対応できる豊富な知識やノウハウを提供するため、カウンセラーに求められる能力は高まっています。

晩婚化は、少子化の要因のひとつになっています。このような環境下で、結婚情報サービスに期待されている役割は小さくありません。かつて人材紹介ビジネスが人材流動化と職業選択の自由を促したように、結婚情報サービスの社会的意義は高まっていくように思います。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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