政府は、原発のテロ対策の意識が低い

2016年03月25日 11:45

スクリーンショット 2016-03-25 11.47.12一昨日、経産委員会で質問に立たせて頂きました。

先日のベルギー同時テロの際、当局の要請でティアンジュ原発から大半の従業員を避難させたというニュースがありました(最新情報では、テログループが、関係者を拉致するなどして原発へ侵入する計画を立てていた可能性があるとのことです)。

では、同じようなテロが日本で起きた場合、政府が、まだ被害に遭っていない原子力発電所にテロ対策として避難勧告を出すことが出来るのかと冒頭に質問しました。

政府の答弁は『実際にテロが起こった段階の対応につきましては、原子力規制委員会の方で対応するということでございます』というもの。残念ながら、原発テロ対策への意識が非常に低いという印象を受けました。

このようなケースでは、原子力災害対策特別措置法や武力攻撃事態対処法などの適用を考えることになるのだと思いますが、基本的には総理等が司令塔となって指示を出すことが可能なはずです。
(規制委員会にテロの情報が迅速かつ詳細に入って来るとは思えず、ここから避難勧告等が出されるなどということは現実的に考えられません。)

私がこの質問をした趣旨は「数日前にそのようなケースがあったばかりなので、早急に調べて、大臣にも日本の法体系・法制度を把握しておいてもらいたい」というもの。

最終的に大臣からは『委員の提言もよく踏まえて検討してみたいと思っています。』と答弁して頂きました。

次に、経産省の温暖化対策への姿勢について確認しました。

パリ協定を受けて作られ、今月15日に了承された政府の地球温暖化対策計画案の中には、温暖化ガスを2050年に現在より80%削減するという高い目標が設定されています。

しかし、これに対して、林大臣は『現状の対応では非常に厳しい』と、かなり消極的な姿勢を示していました。

また、『新たな、革新的な技術、イノベーションがなければならない』とおっしゃっていますが、来年度の「資源・エネルギー関係予算」を見ると、「低炭素化を目指した研究開発」の予算が27年度から減らされており、思い切った予算措置で結果を出そうという気配は全く感じられません

そこで、大臣に、「2030年までに26%、2050年までに80%という削減目標を達成するためには、イノベーションが急務だが、今後の技術開発をどのように進めていくのか」、また、「現在、石炭火力発電所の建設計画が相次いでいるが、これらを増やすことは、温暖化対策に逆行することになるのではないか」尋ねました。

答弁は
『石炭火力はCO2を多く排出するという環境面の課題はありますが、安定供給や経済性の観点から優れており、一定の割合で活用を図っていくことは現時点では不可欠であります。』

『2050年までに80%という大幅な排出削減は従来の取組みの延長では実現が困難で、そのためには抜本的排出削減を可能とするイノベーションによる解決を最大限に追及すると同時に、国内投資を促し国際競争力を高めて、国民に広く知恵を求めつつ長期的戦略的な取組みの中で排出削減を目指します。』
というものでした。

言いたいことは分かりますが、全く具体性がないものです。

以前、経産委員会でJパワーを視察したときに感じたことですが、発電効率が高く、有害物質もほとんど排出しない最新鋭の石炭火力発電所は、石炭の安さと、8609億トン・約109年分の埋蔵量があることを踏まえると、今後しばらくの間のエネルギー源になりうるものだと思います(その時の記事です)。

しかし、地球温暖化のことを考えると、更なる「発電の高効率化」は当然のこと、炭素の排出量を極限まで小さくするCCS の併用が不可欠であり、仮に、新規の石炭火力発電所を建設するということであれば、早期にCCSの導入を義務付ける必要があります。

日本のCCSはようやく4月から実証実験が始まる段階ですので、現在新設計画が進められている石炭火力発電所に導入することは難しいでしょうが、イギリスのように後でそのための設備を追加できる設計にすること(CCSレディ)の仕組みを作ることは可能です。大臣にこの点についても質問しました。

林大臣
『CCSは現時点での義務付けは時期尚早と考えています。』

抜本的排出削減を可能とするイノベーションとして、現在一番可能性があるのはCCSです。この技術は、既に海外では実用化されているところもあり、実現は決して不可能ではありません。このようなところにこそしっかりと予算と力を注ぎ、早期に実用化・義務化する必要があります。

経産省は、温暖化対策を真剣にやる気がないと判断せざるを得ない答弁が続きました。これでは、目標の達成は叶いません。温暖化に対し、もっと真摯に向き合い、一日も早く方針を変更して頂かなくてはなりません。

また、温暖化ガス削減に関するものとして、エネルギーミックスについても質問しました。

政府が目指す2030年時点での電源構成は、再エネが22~24%程度、原子力が22~20%程度、LNGが27%程度、石炭が26%程度、石油3%程度となっています。

それに対して、2013年度の電源構成は、再エネ12%、原子力1%、石炭31%、LNG40%、石油16%となっており、目指すべきゴールからだいぶ遠い状況です。

私は、現在示されているエネルギーミックスを良しとはせず、少なくとも再エネを2030年までに30%にしなければならないと考えていますが、仮に現在の政府目標でいくとしても、単に15年後のゴールを設定するだけでなく、そこにたどり着くまでのロードマップ(少なくとも1年ごと)を作成する必要があると思っています。そうでなければPDCAなど回せないからです。

そこで、林大臣に、ロードマップのようなものはあるのか、なければ早急に1年ごとの目標を作成して頂きたいとの質問をしました。

大臣
『あらかじめ特定の道筋を想定した途中年度の見通しは策定しておりません。』
『あるべき姿を示したのがエネルギーミックスで、その間の道筋は示しません。』

このような答弁では、2030年のエネルギーミックスは絵に描いた餅でしかないということになってしまいます。目標を立てておいて、その過程を考えない。これでは対策が場当たり的になってしまい、かつ、達成できなくとも誰も責任をとらないことになります。

経済性を過剰に重視する、温暖化目標は押し付けられたもの程度の認識しかない、エネルギーミックスは自分で作っておきながら実現の具体策すら示さない。

日本の経済・産業・エネルギーは本当に大丈夫か・・・心配になります。国会と国民がしっかりとチェックをしていかなければ、何も学ばず、何も改善されずという状況が続いてしまうでしょう。

今後とも委員会質問やブログ等を通じて、情報発信をしながら行政監視を行ってまいりますので、皆さんも政府の動向に注目して頂ければと思います。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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松田 公太
タリーズコーヒージャパン創業者、前参議院議員

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