【映画評】あやしい彼女

2016年04月02日 06:00

サブ4 のコピー女手一つで娘を育て上げた73歳のカツは、頑固で毒舌のため、周囲とトラブルばかり起こしている。ある日、ふと入った写真館で写真を撮って店を出ると、なんとカツは20歳の若々しい姿になっていた。若さと美しさを取り戻したカツは、失われた青春を取り戻すと決心。髪型や洋服を変え、名前も節子として、家族の前から姿を消してしまう。新生活をスタートさせ、商店街ののど自慢大会で昭和歌謡を歌ったカツは、その美声で音楽プロデューサーの小林からスカウトされ、しがないバンドマンの孫のボーカルとして歌うことになるが…。

韓国映画「怪しい彼女」を日本映画がリメイクした「あやしい彼女」は、多部未華子のコメディエンヌぶりが光る快作だ。不思議な写真館でいきなり若返るという設定や、事情を隠して地域で暮らすなどのツッコミどころはまずは置いておき、中身は73歳、見た目は20歳(はたち)というギャップが、オリジナル同様に爆笑を誘う。戦中を生き抜き苦労を重ねたエピソードをモノクロの画面で描写し、ちょっとホロリとさせるのも同じだ。違うのは、劇中にヒロインが歌うのが、日本ならではの昭和歌謡だということ。ノスタルジックなのに、どこか新しさも感じさせるアレンジの楽曲は、多部未華子自身が見事に歌っていて、思わず聴きいってしまう。それから大きく変えているのは、ヒロインの子どもが息子から娘へと変わったことだ。この娘もまた仕事や子育てで悩みながら頑張っているという設定で、本作は、ぐっと女性映画風の趣になっている。ちなみにカツが新しい名前として「節子」を選ぶ理由は、往年の大女優の原節子への憧れから。この物語、世界各国別のバージョンが作れそうで、想像しただけで楽しくなってくる。
【65点】
(原題「あやしい彼女」)
(日本/水田伸生監督/多部未華子、倍賞美津子、要潤、他)
(ノスタルジック度:★★★★☆)

この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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