乙武氏をチクったのが松田公太氏と思えぬ2つの根拠 --- 筒井 冨美

2016年04月02日 06:01

「五体不満足」の著者である乙武洋匡氏の「五女体満足」スキャンダルの余波が続いている。「乙武氏を刺したのは、自民党に転じたことを恨んだ松田公太氏だ!」との説がある。スキャンダルを最初に報じた週刊誌には、松田公太氏が率いる政党「日本を元気にする会(元気会)」の関係者がバッチリ写っており、松田氏の弁明も歯切れが悪い。それを根拠にしているらしいが、「それは違うんじゃない?」と私は思う。

 

根拠1、週刊誌は取材ソースの隠匿が大原則

 

そもそも、スキャンダルすっぱ抜き系の雑誌は、情報提供者を守り抜くのが大原則である。「誰がチクったのかすぐバレる」ような取材源保護が甘い雑誌には、誰も情報提供しなくなるので、雑誌が成立しなくなる。タレこみ関係者の顔写真が載るなんて、言語道断である。ゆえに「元気会関係者の顔写真が載ってしまった」=「情報源は元気会ではない」という、何よりの証拠になるだろう。

 

根拠2、チクるタイミングが早すぎる

 

「ストーカー殺人」など別れ話の怨恨による事件は、仲良しだった二人が別れた後に発生する。「電話もメールもlineも着拒」のような完全拒否の状態で、嫌がる相手を待ち伏せなどした挙げ句に爆発するものなのだ。2016年初頭の時点では、乙武氏と元気会は「ライバルの存在を感じつつも、一緒に旅行するような仲」なのだから、こういうどっち付かずのフェーズでは大爆発は起こりにくい。

また、元気会のライバルは自民党である。スキャンダルを週刊誌にチクる目的は「乙武氏を社会的に葬る」ではなく「自民党をイメージダウンさせて票を減らす」ことなのだ。より効果的なイメージダウンを狙うならば、たれ込みは正式に「自民党から出馬する」宣言の後がよい。この場合、自民党幹部は乙武氏の「夫婦愛」やら「イクメン」やら「清廉潔白で爽やか」をアピールする応援演説を繰り広げるだろう。そこで「五女体満足」スキャンダルを公にすれば、乙武氏のみならず、応援演説の自民党幹部も一気にマヌケに見えて「自民党って、表じゃ立派なこと言っても、裏じゃわかんないよねぇ~」的なアピールに使えるはずだ。スキャンダルは、さんざん持ち上げた後に落とした方が、より効果的である。「男性育休宣言」「政治家同士の夫婦愛」「生まれる子供や次世代への想い」をさんざん語った後に不倫が発覚した国会議員の顛末は、記憶に新しい。

ある病院に、「腕は素晴らしいが、女性関係も派手」な外科医がいる。妻子持ちだがナースや秘書をとっかえひっかえ…ここ数年間は部下の女医を寵愛していたが、仕事そのものはバッチリなので病院上層部は見て見ぬふりをしていた。月日は流れて、件の外科医は女医から新人秘書に乗り換えて…怒った女医は「公費流用で愛人同伴旅行」などの証拠を集め、然るべき筋に告発する寸前となった。慌てた院長は人脈を駆使して、女医に海外有名医大への留学を斡旋したそうだ。女医も少し頭を冷やして留学話を受け入れて、告発はお蔵入り…めでたく、一件落着となった。件の外科医は今もその病院に在籍している。彼の実績ならば、もっとメジャーな病院に移籍することは可能なはずだが、「仕事と女性関係の両立」にはトップがそういう病院だと居心地がいいのだろう。

松田氏の立場は、この院長のようなものだったと私は推測している。「自民党って、最近は女性関係きびしいよ。不倫で議員辞職だよ。買春で離党した人もいるよ。ウチの党は仕事さえやってくれれば、うるさくないよ。たまには息抜き旅行もアレンジするよ。やっぱり、ウチから出ない?」というアピールが、例のチュニジア旅行だったような気がする。という訳で、松田氏は前を向いて選挙準備に励んでほしい

また、今の日本には「オレは背が低いからモテない」「髪の毛が少ないからどうせダメ」程度のハンディキャップで男女交際をハナから諦めている草食系男子が多すぎる。髪の毛どころか手足が足りない乙武氏の「五女体満足」エピソードは、そういった迷える若き男子には福音だったのではないか。作家業に戻った乙武氏には、草食系男子を叱咤激励する恋愛指南書を執筆していただき、少子化対策に…ひいては日本の将来に貢献してもらいたいと私は思っている。

筒井  冨美   フリーランス麻酔科医

1966年生まれ。フリーランス麻酔科医。地方の非医師家庭に生まれ、某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、2012年から、「ドクターX~外科医・大門未知子~」「医師たちの恋愛事情」など医療ドラマの制作協力に携わる。2013年から、東洋経済オンライン「ノマドドクターは見た! 」で論壇デビューし、執筆活動も行う。近著の「フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方」では、医師たちのリアルな恋愛事情をレポートしている。

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