女性活躍は推奨され出産の話題は批判される不思議

2016年04月05日 06:05

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前回のエントリー「価値観の多様性を認めない教育委員会」には多くの意見をいただいた。特にYAHOOニュース記事に対しては、賛否を含めて様々な意見をいただいた。個別のものには誹謗中傷や脅迫に近いものがあったが多くの意見をいただいたことで、それだけ触れることが難しい問題であることを改めて認識することができた。

●メディアが取り上げない理由

まず、お気づきの方も多いと思うがテレビのコメンテーターの多くはこの問題にコメントをしたがらない。肯定する人はほぼ皆無である。コメンテーターも肯定したら批判をあびるから積極的な発言をすることができない。

出産を義務として公人である校長が切り出すことには配慮が欠けた点があったことは否定できない。「子供を産む、産まない」というデリケートな問題について持論を展開したことは拙速との意見もある。しかし、多くの否定派の方が指摘される「女性を否定している」という点には違和感を感じる。

実は、否定派の方が気がついていない点がある。この発言を否定するということは女性のあり方を否定することにもつながりかねないということである。早くに出産をして働いている女性もいるだろう。なかには、子育てがひと段落してから、学歴やキャリア積みたいと思っている女性もいるだろう。

女性のすべてが「キャリアを積み」「子供を産み」「育休を取り」「復帰をする」と考えているわけではない。否定派の方がいわれる「女性のあり方そのものを否定し時代に逆行している発言」と断定することは簡単だが、それこそ、他の価値観の女性のあり方そのものを否定していることに気がついていない。

●人口が減るということ

これは女性蔑視なのだろうか。女性蔑視とすることの方が「女性蔑視」ではないのか。この発言は「子供を産むことの意義や重要性を説いた」ものである。ごく当然のことを発言したに過ぎないし、校長は子供を産むことの意義を述べており、実際に、男性も子育てに参加することが重要であり勉強をすることの必要性も述べている。

否定派の方が主張する「権利」と「自分らしい生き方」とは相反するものであり、日本の社会システムの安定がない限りは、いまのような「権利」は守られることはない。女性が社会のなかで活躍することは素晴らしいことではあるが、女性がキャリアを積み、それを男性も支援し支えるというばかりの社会になったら、少子化はさらに進行していくだろう。

人口学の統計上では、男女が結婚して子供を2人産めば(正確には2.1人)、人口は減少せずに現状維持をすることができる。東京都のケースでは女性の平均出生数が1.1人であるが、これは日本の将来の停滞を意味している。

また、超高齢化社会においては、高齢者を支える若い人の数が減少していくことから喫緊の課題でもある。人口が増えれば、高齢者を支える負荷は軽減されるだろう。これは近い将来、直接的に個人の負担となり覆いかぶさってくる。日本の素晴らしい社会システムや個人の権利を維持するにはやはり、人口の問題は避けて通ることはできない。

●自らの問題あることを認識すべき

「子供を産めない女性の立場を考えていない」「男性でも子供がつくれない人がいる」「無意識に女性を子供を育てる機械とみているとしか思えない」という意見もある。この点に関しては校長の発言は必ずしも適切ではなかったから理解できなくもない。

「中学生に子供をつくる事だけが大事かのようにいうことは如何なものか」「時期尚早であり中学生にはいうべきことではない」とする意見もある。これらの主張をされる方は「子供を産まないと価値がないように聞こえる」と反論したくなるのだろう。

いまの風潮の特徴として女性が子供を産むことを奨励する発言をすると、批判の的になりやすい。時代遅れであり女性蔑視として叩かれるのが自明の理である。一方で、女性の社会進出を奨励する発言をすれば好意的に受けとめられる。

校長の発言が問題視されているものの、その背景や本質を議論するのであれば「校長の発言」の言葉尻を捉えて報道したり、言葉狩りのような状態に陥ると議論ができない。よって、これ以上、「校長の発言を吟味しても答えは出ない」というのが私の結論でもある。単に批判するのではなく、問題提起をしたと考えればよいだろう。そして、個々が自らの問題あることを認識しなければいけないことなのだと考えている。

尾藤克之
コラムニスト/経営コンサルタント。議員秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ)『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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コラムニスト/経営コンサルタント

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