解決されつつある代理人の“ダブル・エージェント問題”

March Madnessもついに土曜日にFinal Fourが行われ、名門North CarolinaとVillanovaが決勝進出を果たしました。今晩、いよいよ決勝なのでどちらが勝つのか楽しみです。

ところで、NCAAバスケでは古豪として知られるMemphis大学で、ヘッドコーチの代理人NextLevel Sportsの“ダブル・エージェント問題”が発覚して物議を醸しています。同大学バスケ部は残念ながら最近は低迷を続けており、現ヘッドコーチのJosh Pastnerの手腕が改めて問われることになっています。

実は、同社はMemphis大学のAD(Athletic Director)のマネジメントも行っているんですね。つまり、雇う側(AD)と雇われる側(コーチ)の両方の代理をしていたことが問題視されているのです。実際、Pastnerは現ADのもとで2013年に契約を延長しており、2018年までの5年契約を結んだのですが、この際、大学側が契約途中で彼を解雇する場合は1060万ドルの違約金を支払うというバイアウト条項が付与されていたんですね。

これでチームの成績が良ければ問題にはならなかったのかもしれませんが、近年の成績低迷の上、この妙にコーチに優しいバイアウト条項の存在も明るみになり、ADとマネジメント会社がグルになってコーチを雇ったのではないかという疑惑が浮上してきたという訳です。

大学側はこの代理人とADに利害相反があった可能性があるとして、現在調査を進めています。代理人の利害相反については、今年の2月にNBAも同じ代理人が選手とコーチやGMなどを同時に代理することを禁止するなど、代理人規則の厳格化に着手しており、今後、米スポーツ界ではプロ・アマを通じて代理人の利害相反の排除を徹底する方向に向かっていくのではないかと思われます。


編集部より:この記事は、ニューヨーク在住のスポーツマーケティングコンサルタント、鈴木友也氏のブログ「スポーツビジネス from NY」2016年4月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はスポーツビジネス from NYをご覧ください。