ガソリン代を論じるメディアの錯誤

2016年04月07日 06:00
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民進党の山尾志桜里政調会長(以下、山尾氏)に政治資金疑惑が生じています。3/31発売の「週刊新潮」の記事に端を発したものです。

山尾氏の資金管理団体「桜友会」が提出した2012年の政治資金収支報告書に個人の寄付上限額1000万円を超える1144万円を山尾氏自身から受けたと記載して、その後に訂正していること。また、代表を務める「民主党愛知県第7区総支部」が12年に計上したガソリン代として230万円にものぼることなどをスクープしたものです。

●「地球○周分」という違和感

このスクープ後に、各メディアは山尾氏追及を開始しました。「なんと地球5周分」「驚愕のガソリン代」と責め立てています。正直なところを申し上げるならスクープとして報道するような類のものではありません。政治家の政治資金報告書の記載問題はよくある話であり修正申告すれば済む話だからです。

山尾氏に詰め寄って「謝罪のお気持ちは」「辞職の可能性は」と質問せざるをえない記者も気の毒です。仮に事務所内で架空請求や使い込みがあったのならそれは元秘書の問題であり、山尾氏はまったく関係がありません。むしろ被害者の立場であり事実確認がとれれば弁済を求めれば済む話です。

また、「地球○周分」という表現も少々悪意を感じる表現です。今回は特定メディアの追求が際立っていますが既に論じられているとおり、高額計上している国会議員は与党にも多数存在します。本来なら双方の疑惑として追及しなければ本末転倒でしょう。

なおプリペイドカードはその属性に応じて機能がまったく異なっています。ガソリン専用のもの、ガソリン以外の買い物が可能なもの。店舗のみでしか利用できないもの、コンビニ、ファミリーレストラン、ドラッグストアなど多岐に利用できるものなど千差万別です。

金券ショップで購入したプリペイドカードは転売や換金可能ですが、山尾氏が購入したプリペイドカードは店の規約で原則的に換金できない(第7条:換金の原則禁止として)決まりになっています。

●総理や官房長官と比較する違和感

他のメディアの記事では、安倍総理が「地球12周」、菅官房長官も「地球5周」などの指摘があります。しかしあまり意味をなさない指摘です。総理は日本国における国権の最高機関である国会で任命されたリーダーであり最高責任者です。官房長官は総理につぐ内閣の重要ポストであり内閣の要ともいわれています。

総理や官房長官が抱えている秘書の数は相当数に及びます。そして各々の秘書が役割や専門性に応じてブレーン、政策スタッフ、ボランティアを抱えています。ボランティアまでを含めれば100名を超す規模ではないかと推測します。当然ながら総理になれば官房長官の数倍のスタッフがいても不思議ではありません。

ましてや、日本国のリーダーやそれに次ぐ立場の者が「たかだかガソリン代を不正に処理する」など考えにくいでしょう。報道するメディアはこのような実態を精査したうえで公表する必要性があります。中途半端な報道は誤解を招く恐れがあるからです。

いま政治には議論すべき課題が山積しています。デフレ脱却、消費増税、軽減税率、TPPについての合意内容も説明が求められるでしょう。東日本大震災の復興、保育所、同一労働同一賃金も議論すべき大きな課題です。国民は、「地球○周」などではなく、生活に密着した議論や、実態を照射した骨太な議論を展開してもらいたいと考えているはずです。

尾藤克之
コラムニスト/経営コンサルタント。議員秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ)『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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