お金を払って楽しむ東京と、楽しみをつくる地方

-今日はブログのため、いろいろ話聞きたいんだけど、そもそもアキラはどうして、こういうイベントやってるの?

「こういう町だからさ、自分で何かしないと思って」

-こういう町って?

「何でもあるけど、何にもない町」

「ねえ、ちょっと相談があるんだけどさ、おれのイベント、ブログに書いてくれない?」

アキラから、そんなメッセージをもらったのが、数週間前。

ぼくのブログで、昨年もっとも読まれた記事のひとつである、ハロウィンイベントを仕掛けたのもアキラ。 今ぼくが地元で、注目している同年代のうちのひとり。

そんなアキラからの相談。

-全然書くけど、ちょっとネタがほしいから、今度いちど飲もうよ

チラシ画像をぺろっと一枚貼って、「今度こんなイベントあるよー」 そんなブログを書くのは簡単なんだけど、そんなのは書きたくない。

実際、一度ゆっくりアキラの話を聞いてみたいというのもあり、いい機会だと思った。

アキラとの出会いは、1年くらい前。 僕が選挙に向けて、がそごそしていた時期。 まちなかのイベントでチラシを配っていたら、逆に、

「おれもこんなんやるから来てよ」
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 – https://www.facebook.com/iamcafe/photos/  

とチラシを渡された。

それまでのぼくなら絶対行かないようなイベント。 今だから言えるけど、半ば、「社会勉強」くらいの気持ちで行った。 結果、楽しかったし、たくさんの人に出会えてよかった。

そして、その場を懸命に盛り上げているアキラがとても印象的だった。

そんなアキラの好感度がものすごく上がったできごとがある。 豊橋まつり。

ぼくは来賓席で全てのパレードを見送っていたのだけど、その中に、神輿行列もあった。 その神輿のひとつにアキラがいた。 しかも神輿の上に。 ぼくはこれを見て驚いた。

「神輿の上に乗る」、正確には乗せてもらえる、というのは、その地域で本当に認められていないとできない。 キラキラしたイベントだけでなく、こういう行事もちゃんとカバーしているアキラを、ぼくは一気に好きになった。

そんな中、知り合って1年、はじめてアキラとふたりで飲むことになった。

店はアキラが選んだ焼き鳥屋。 少し先に着いたのか、まだアキラはいない様子。 しかし、カウンターには二膳の箸と、2つのお通し。

-これ、「伊藤」って名前での予約です?

大将がうなづく。 店が決まったのも、時間が決まったのも会う直前なのに・・・アキラ、できる。 少し遅れてアキラがやって来る。

ごめん、消防団の集まりが長引いちゃって

地域の祭りだけでなく、消防団もこなすアキラ。 ありがたい。

「ここ、すげーおいしいらしくて、いちど来てみたかったんだよ」
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 「うすーーーい、ウーロンハイください」

そう、こんな顔して、アキラはめっちゃお酒がよわい。 ドリンクが届いた。

-おつかれー(乾杯)。 今日はブログのため、いろいろ話聞きたいんだけど、そもそもアキラはどうして、こういうイベントやってるの?

「うーん、こういう町だからさ、自分で何かしないと思って」

-こういう町って?

「何でもあるけど、何にもない町」

-何でもあるってのは?

「生活をするためのものは何でも揃ってる、仕事も。 不便じゃない」 

-何にもないってのは?

楽しくない」 

鳥刺しが来た
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オススメはありますか? と聞くと、「全部オススメです」と言う系の大将から、「うちがはじめてならまずはこちらでどうです?」と言われて頼んだ鳥刺し。 言うだけのことあり、すごく美味しい。

-アキラって東京いたんだよね?

「うん、22から26くらいまで」

-22までは何してたの?

ボクサー

-はぁっ!??? 

「あれ、言ってなかったっけ。」

-知らん。

「おれ、18からプロボクサーだったんだよ。 それで22くらいのときに東京のジムに移籍して、それで」 

最近、アキラのフェイスブックで、昔の写真がアップされていたのだけど、当時のアキラの方が、なんか今より好青年というか、ツルツルしている感じで、全然ボクサーっぽくない。
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 – https://www.facebook.com/akira.072.jp/

しかも、驚きの家族写真。

-で、豊橋に戻ってきて、稼業継いだの?

「いや、最初はレゴリス(まちなかの飲食店)で働いてた」

-まじか。

「で、戻ってきたときは、ずっともやもやしてて」

-うん、

「ほら、学生が「学校つまんない」とか言うのって、誰のせいでもなく自分のせいじゃん。 それと同じで『地元つまんない』という自分がかっこわるい、と」

-わかる。 それで、はじめに何やったの?

50対50の合コン、レゴリスで」

-おお。 

すでに顔に赤みが
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うすいウーロンハイが2センチしか減ってないのに

-それで?

「それで、ファッションナイトかな。 2014年の6月から。次で5回め。 」

-あれ?まだそんなもん?

「うん、年2回やってるからね。」

-あーだからもう5回めか。 このイベントやろうと思ったきっかけは?

「友達の美容師から、『こんなんやらない?』って声かけてもらって。それで」

-おー、意外とシンプルな。 他にやってるイベントあるだっけ?

「自分もメインなのは、あとは、ハロウィンと、長坂くんが来てくれたホワイトパーティー・レッドパーティーとかかな。 でも仕事しながら2年で20イベントとかやってた」

-まじかよ。そりゃすごい 

ひなどりのねぎま。
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すげーうまかった。

「まずは自分が変わらないと、と。 人も、俺が楽しそうに生きてたら、周りもそうなるかなーって」

-それはあるよね

「豊橋にマイナーはあるけど、メジャーってないじゃん。 入りやすくて敷居が低いの。 お客さんに対して、ただ「楽しい」だけで終わらせたくなくて、「こういうイベント自分でも開催したい!」って思ってくれたら最高」

-わかる

「こんな俺でもさ、うれしいことに「アキラくん、アキラくん」って言ってくれる子がいて、今度はそいつも中心でやってくれるから、嬉しくって」

-だよね

「こういうのがつながって、つながって、それがきっと文化になるんじゃん。それがきっとまちおこしになって。 今はタネまきしてる感じ」

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2014.9.20.
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FASHION NIGHT vol.4
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【FASHION NIGHT vol.5 2016 s/s 】
開催決定!!!

日時・2016年5月1日(日)
19:00-22:00

会場・Hotel arc riche toyohashi
3F [THE GARDEN]terrace

料金・3000YEN【1drink付き・来場者特典あり】
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 – https://www.facebook.com/events/187375944987175/permalink/187405154984254/

アキラが今、一生懸命に種を蒔いているイベントがこちらです。
もちろん、ぼくも行きます。

<編集後記的な>

東京はたくさんお金を稼いで、楽しむためにもたくさんお金を消費して楽しむまち。 楽しませてもらうまち。
地方は、自分で楽しみをつくりだすまち。 自ら楽しむまち。

少し前から、そういうことをテーマに、ひとつブログを書こうと思ってたので、今回思ったとおりアキラの件がはまったので、逆にこちらが感謝。

最近、にわかな移住ブームだけど、地方に移住を考える人は、自分が「自分で楽しみをつくれる」人かどうかを一度考えてみてください。 そして、どちらがクリエイティビティを求められる生活なのかも。

ぼくの好きな言葉を置いておきます。

 – 「自分一人で時間を潰すことができる能力を『教養』と呼ぶのである。」by中島らも – 40代貯金2000万でセミリタイア
 http://blog.livedoor.jp/retire2k/archives/42705239.html

ぼくは「教養学部」というところを卒業したので、学生時代からひと一倍「教養とは何か」を考えていました(聞かれるので)。 その中で、すっと心に入った言葉、説明で気に入っています。
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余談ですが、アキラとの話の中で、

「浜松は、アンテナが高くて、新しいことに敏感」

という言葉が出てきて、これは僕も同感で。
名古屋の方が大都市なのに、駅を行き交う人を見ると、浜松のが、なんか垢抜けてるんですよね。

あれなんでですかね?
だれか教えてください。
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では!


愛知豊橋・長坂なおと のblog より

プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ