熊本地震から学ぶ日本の都市計画

2016年04月16日 10:39

「平成28年熊本地震」と命名された今回の震度7の震災の特徴は夜、しかも比較的田舎での震災であったことです。また、現在も大きな地震が続き被害が拡大し、不安も増幅しているなかで本件に関する話題を題材にするのはやや早計かもしれませんがお許しください。

私はテレビの画像を見ながらここから学ぶべきことがはっきり浮かんできましたので皆様とシェアしてみたいと思います。

日本で近年のこれまでの震度7以上の地震は阪神淡路、新潟中越、東日本大震災の三つでした。その発生時間はそれぞれ、朝5時46分、夕方5時56分、午後2時46分であります。それに対して今回は夜の9時26分、そしてその後続く数々の余震(あるいは本震)も夜中に集中している点に於いて阪神淡路に近い人々の非活動時間の災害という特徴がまず挙げられます。

一方、都市型と過疎地という意味では阪神淡路だけが都市型で東日本大震災はあまりにも広範囲でミックス型、それに対して新潟中越で被害の大きかった川口町(当時)は人口4800人、今回の熊本の益城町は34500人と比較的小さな町に被害が集中する傾向が出たともいえます。

私は過疎と高齢化が進む地方での震災という点では新潟中越との比較が一番良いと思うのですが、新潟中越に於いては土砂崩れが6000か所でアクセスが取れなくなった村や部落が多かったのが特徴であります。今回はたまたま新潟中越ほどの山間ではなかったものの夜間で電気も切れたこと、時間が夜の9時半で明け方まで相当の時間があったことで復旧作業の開始が遅れたことが大きな反省材料だったと思います。(但し、最新の情報では南阿蘇の山間部では相当の土砂崩れが発生しています。)

また、益城町のように町レベルでは災害時に対応できないことが明白であります。例えばこのブログを書いている時点(4月16日夜半)において益城町のウェブサイトのトップページには「現在緊急情報はありません」とでかでかと出ていました。(現在はアクセスが出来ないようになっています。)ウェブをアップデートできないほどであったともいえますが、一方で益城町に家族を持つ人、関係のある人の情報源としては重要な意味があるはずのウェブサイトがワークしなかったということは言えるでしょう。例えばバンクーバーに住む私の知り合いが今、熊本の実家に帰っているのですが、どうしているのか、気になっています。

不動産事業に長く携わる者として以前、少子高齢化の進む地方では居住者の集約化を図るべき、と書いたことがあります。それはあくまでも経済的観点からある程度地方の人口を集約し、規模を作るととともに互助や福祉、医療などを集中させることで活性化を図ったらどうか、と申し上げました。

これは役人や役所業務の集約化と共に地方の効率化が大幅に改善できます。そして今回の地震での教訓とは居住地が点在していると救助も非効率化することが明白になった点であります。ましてや地震を含む災害はいつ発生するか分かりません。それに対する対応と対策費も容易ではないことが今回はっきり見えたのではないでしょうか?

もう一つ、日本は本当に地震国であることを改めて裏付けました。北海道から九州までランダムに揺れ続けるこの国に於いて平成26年に作られた「国土強靭化計画」は災害発生時とその対応についてはよく検討されていると思いますが、高齢化が進む地方都市における災害や防災を最小限に食い止める「街の再構築」は私が見る限り具体的に盛り込まれていません。

自然災害が多い日本に於いて例えば避難経路(道路)が一本しかないエリアの居住は制限するなどの対策は日本だからこそ行わなくてはいけない強権策だと思います。いつも思うのですが、日本は何かが起きてからの対応は素晴らしいのですが、プリベンティブ(事前対策)を行うのは様々な軋轢、圧力、利権、政治力がありなかなか動きません。しかし、それが結果として被害を大きくしたり、災害救助の規模を拡大しなくてはいけない原因を作っている気がします。

都市計画というのは何処に人が住むことが最も意味あることか、様々な観点から考え、計画することであります。日本では権利を傘になんでもできるという発想が往々にして見られます。が、北米などでは法律やルールの縛りは厳しく、自由度が高い国家でありながら行政の支配力は強大ではないかと思います。

我々は最小限守るべきエリアをあたかもシェルターの如く、作り上げ、自然災害大国日本が不朽の発展を遂げる足腰を作り上げるべきではないかと強く感じます。

現在進行中の熊本地震が早く収まり、被害が最小限に留まることを祈念いたします。

PS
不謹慎ではありますが、消費税引き上げはこれで延期する理由が出来ました。衆参同時選挙も意味がなくなると思います。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 4月16日付より

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