現在の晩婚化に思う

2016年04月19日 18:10

先日、中国戦国時代初期の思想家である墨子の「富国論と人口増殖論」について書かれているを読んでいました。その中に墨子の時代の「人口の増加を妨げる諸種の原因」として、下記の「およそ六事を論じて」いました。

 その一は晩婚である。彼の理想は男は二十、女は十五になればみな配遇を有すべきである。普通の結婚は平均十年後れてゐる。もし三年に一度出産するものとすれば、その十年間に一組の夫婦について三人づゝ人口を損じたわけである。第二は公租公課の苛重、第三は戦争、第四は殉死、これにいたつては、その弊戦争とほとんど譲らない。天子諸侯となれば、殉死いな殉殺の数何百人に達し、将軍大夫と雖も数十人に上ることがある。第五は厚葬久喪の害、第六は蓄妾である。諸大名になると、多きは何千、少きも何百といふ女を抱へてゐる。それだけ民間に男女の比例を破るものである。

いま人口増加の必要性やその方策についての議論とは我国でも結構なされてはおりますが、若年で結婚させるというふうな方向に持って行くといった発想は恐らく余り無いのではという気がします。次に公租公課の苛重ということでは、やはり何時の時代でも重い税負担感は人口増加にマイナスに働きます。

第三の戦争・第四の殉死で言えば、現代日本では幸いなことに無いと言える類です。また厚葬久喪の害、つまり長い間喪に服すとか厚く葬るとかは駄目だとするのも、日本ではそれ程の事はありません。

そして最後に妾を囲う云々と書かれているものですが、私にとっては取り分け晩婚の話が大変面白く感じられました。人口増殖は現代的問題というよりも実は墨子の時代、一国の死活問題としてよりシリアスに考えられていたわけです。

晩婚化が進めば進む程に確かに子を授かり難くなり、それがため不妊治療を受け子供が出来るか否かと気を揉んでいる人が、どんどんと増えているのが今の世です。しかし墨子の言にふと思うに、出来るだけ早く結婚して子供を作る方が身体にも良いということでしょう。

若くして産んだ子を経済的理由で十分養えないとする議論に対しては、例えば何歳迄に子供を産んだとした場合、生活して行くに手厚い保障を一定年齢まで与えるとか、あるいは段違いに格安の家賃で住めるよう公営住宅を与える等々、様々な施策で応ずれば良い話であり、またそれが強いインセンティブになるものです。

言うまでもなく、私は現代的価値観に基づいて15歳から結婚させるということは無理でしょうから、それを主張するものではありません。しかしこれまで採用されている現行施策によっては、現に子の数が中々増えては行かないようです。

本ブログで私が何を言いたいかと言えば、今まで議論されていない事柄も含めて少し違った視点から此の人口増加の問題を捉え直してみてはどうかと思うのです。出生率向上のインセンティブの与え方次第では、政策目標の達成は意外と難しくないかもしれません。

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