【映画評】レヴェナント:蘇えりし者

2016年04月23日 06:00

DF-020861820年代、西部開拓時代のアメリカ。探検隊のガイドを務める凄腕ハンター、ヒュー・グラスは、ハイイログマに襲われ喉を引き裂かれる重傷を追う。探検隊チームメンバーの一人、ジョン・フィッツジェラルドは、隊長から瀕死のヒューを看取って手厚く埋葬するように命じられたのに、ヒューを見捨てた上に彼の息子を殺して去ってしまう。奇跡的に生き延びたヒューは、ジョンへの復讐を決意。厳しい冬の寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃をかわしながら、約300キロの過酷なサバイバルの旅に出る…。

19世紀のアメリカを舞台に、極寒の荒野に置き去りされた実在のハンターの壮絶なサバイバルと復讐を描く「レヴェナント:蘇えりし者」。本作でレオナルド・ディカプリオが悲願のオスカーを獲得したことが最大の話題だが、監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは2年連続の監督賞、名カメラマンのエマニュエル・ルベツキにいたっては3年連続の撮影賞を受賞するという、究極の“いい仕事”が合体している。大自然そのものが主役ともいえる壮大な物語には、誰もが魅了されるはずだ。極寒の地を這うようにしてサバイバルを続ける主人公ヒューは、復讐を糧に、生きることを決してやめようとしない。ヒューはすでに自然の一部と化しているかのようだが、そこに時折、亡き妻や息子の幻影が映り込むことで、幻想的な趣を醸し出している。

実際、レオの必死すぎるサバイバルは熱演すぎて引いてしまうこともあったが、彼の入魂の演技なくしてはこの映画はなりたたない。さらに、すべて自然光で撮影したという名撮影監督エマニュエル・ルベツキの仕事ぶりは、神がかっている。生への執念にとりつかれた人間を俯瞰でとらえるカメラワークは、どこまでも冷徹で崇高だ。尊い自然への畏敬の念が、この壮絶なサバイバル劇を貫き、すべてが終わった後に魂の救済へと至る物語は、観客を大きな感動で包み込んでくれるだろう。2時間37分と長尺だが、退屈とは無縁の傑作だ。

【90点】
(原題「THE REVENANT」)
(アメリカ/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、他)
(生命力度:★★★★☆)

この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年4月21日の記事を転載させていただきました(画像は20世紀フォックス提供)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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