極右候補者、トップで決選投票へ

2016年04月26日 11:00

オーストリア大統領選が24日実施され、極右政党「自由党」が擁立したノルベルト・ホーファー第3国会議長(45)が得票率35.3%を獲得して第1位、それを追って「緑の党」前党首アレキサンダー・バン・デ・ベレン氏(72)が21.3%で第2位に入った。この結果、両候補者が来月22日の決選投票に進出することになった。ハインツ・フィッシャー現大統領は2期12年間を満了し、7月退陣する。

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▲自由党の大統領候補者ホーファー氏(中央)、左はシュトラーヒェ党首(自由党の公式サイトから)

ファイマン大連立政権の与党「社会民主党」の候補者ルドルフ・フンドストルファー前社会相(64)は10.9%。国民党のアンドレアス・コール元議会議長(74)は11.1%でいずれも敗退を喫した。大統領選で与党候補者が決選投票に進出できなかったのは今回が初めてだ。

自由党のホーファー氏はオーストリア・ファーストを標榜し、難民受入れに批判的で、厳格な国境監視を主張してきた。昨年9万人の難民を受け入れてきたオーストリアでは難民受入れに消極的な声が高まっている。同氏は難民殺到に懸念する国民の声を吸収していったわけだ。

オーストリアでは大統領(任期6年)は名誉職であり、その政治権限は限られているが、決選投票でホーファー氏が当選し、ホーフブルク宮殿の大統領府の主人になった場合、欧州政界で大きな波紋を呼ぶのは必至だ。自由党はブリュッセル主導の欧州連合(EU)政策にこれまで批判的だからだ。自由党はEU米国間の包括的貿易投資協定(TTIP)に強く反対し、TTIPを問う国民投票の実施を要求している。

極右政党「自由党」のホーファー氏の当選を阻止するため、与党「社民党」は「緑の党」元党首を支持する意向だ。今回の第1回投票で3位に入ったイルムガルド・グリス元最高裁判所長官(69)を擁立した野党「ネオス」も反ホーファー氏陣営に加わる姿勢を見せていることから、決選投票は「自由党」ホーファー氏に対し、社民党と「ネオス」が支援する「緑の党」バン・デ・ベレン氏の間で激しい戦いが展開されることになる(保守政党「国民党」は現時点では支持候補者を明確せず、党員の自由意思に委ねる予定)。

第1回投票結果(暫定)

ホーファー氏(自由党)          35.3%
バン・デ・ベレン氏(「緑の党」)     21.3%
グリス氏(「ネオス」支援)        19.0%
コール氏(国民党)            11.1%
フンドストルファー(社民党)       10.9%
R・ルーグナー氏(実業家)        2.3%

投票率                  68.1%

第1回投票で最も深刻なダメージを受けたのはファイマン連立政権を組む社民党と国民党の2大政党だ。特に、党擁立の候補者が5位となった社民党は深刻だ。ファイマン党首となって以来、州選挙を含む過去の選挙で敗戦続きのファイマン党首への風当たりが更に強まることが予想される。

一方、大統領候補者の擁立の際にゴタゴタがあった国民党ではラインホルド・ミッターレーナー党首(副首相)の辞任を含む党指導部の人事が避けられないと受け取られている。

ただし、連立政権の解消、早期総選挙実施は目下、考えられない。現時点で総選挙を実施すれば、難民問題で支持を拡大する野党「自由党」に政権を奪われる事態が予想されるからだ。社民党と国民党は次期総選挙(2018年)まで党の立て直しが急務となる。

いずれにしても、大統領選挙は与党政党、社民党と国民党への国民の不信が予想以上に深いことを明確に示した。国民が戦後から続いてきた2大政党主導の政治に「ノー」を突きつけた選挙だったといえる。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年4月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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