モチベーションと仕事の成果は関係ない

2016年04月27日 06:00

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人材育成は会社にとって永遠のテーマである。経営者は業績に寄与する人材を常に嘱望しているものだ。適材がいなければ外部から調達しなければいけない。しかし、プロフィールや実績が充分であるはずの人材がまったく役に立たないケースは少なくない。

部下が絶対、目標達成する「任せ方」』(PHP研究所)の著者である、中尾ゆうすけ氏(以下、中尾)も、同じような状況をいくつも目の当たりにしてきたそうだ。

●管理職はプレイヤーではいけない

個が確立された組織であればプレイヤーでも問題は無い。しかし役職者になり人を動機付けて動かしていく立場であればプレイヤーとしての能力以外に、プラスαが必要になってくる。プラスαの部分とは部下に対してのマネジメント力のことである。

現代は、マネジメント力の有無によって管理職の資質が問われているのである。中尾は、マネジメントのなかで最も大切なことは「部下への仕事の依頼方法」だという。

気持ちよく仕事を引き受けてもらうためには「部下の立場になって依頼すること」が大切である。自分の都合で仕事を依頼するのはプレイヤー的な発想であり、マネジメントではないというものだ。

そのためには幾つかの手順が存在する。まずは部下の状況を確認し仕事を受けられる余裕があるかを確認すること。このときに無理にやらせると反発がありコミュニケーションギャップが発生してしまう。

つぎに、依頼をするときには、明確にはっきりと依頼内容を伝えることである。まわりくどい言い方ではなく端的に伝えたほうが効果的である。もしその時点で部下が抵抗をしめしたら丁寧に話し合うことも大切である。

また中尾は、「多くの会社で間違ったマネジメント理論が定着している」と危惧する。それは「モチベーションと仕事の成果は関係ない」というものだ。理由は次のとおりである。

●モチベーションアップに躍起になってはいけない

1)モチベーションは部下自身がスイッチを入れない限り高まらない
2)どんなに影響力を発揮しても上がらない場合もある

この2つの現象が発生しても目的は変わらない。つまり選択肢はひとつしかない。「モチベーションが低くても成果を出させること」である。

無茶と思う人は次のように考えて欲しい。

1)モチベーションの高い人がいなかったら誰に任せるか
2)モチベーションが低ければ成果を出さなくてもよいか
3)成果を出さなければ給料を下げてもよいか

この3つの質問に対して「モチベーションが低い人には任せません」と答えるなら管理職の適性は無い。管理職ならば「モチベーションが低くても任せること」を考えるはずだ。

会社というものはモチベーションの有無に関わらず成果が求められる。モチベーションが高まることで業績がアップするような幻想をいだいている会社が多いが、それは根本的に間違えているのである。

それではどうすれば良いのか。中尾が指摘するのはモチベーションの分散である。チームやペアで取組ませることで相互に補う意識が生まれ改善してくるというものだ。またチームやペアで分散できない場合は、アウトソースしたほうが効率的とも主張している。

●本日のまとめ

中尾は、「上司は部下に対して最大限に配慮すること」を推奨している。会社において上司の役割は成果を達成することなので、それは充分に理解できる。しかしここでいう配慮とは、へりくだったり迎合するという意味ではない。「上司として相応しい振る舞いをするなかで配慮する」という意味である。

過半数の人が大学に進学しているいま、人材は標準化の傾向にある。一方、良い意味での「成り上がり」や「叩き上げ」は少なくなった。スケールの大きい人材が、いまの時代は見出し難いのかも知れない。しかし、いつの時代も管理職に求められる役割は変わらない。以前にも増して、部下とのコミュニケーションが重要になっていることはいうまでも無い。

尾藤克之
コラムニスト/経営コンサルタント。議員秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ)『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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