Fed調査、労働市場評価も利上げ見通しはハト派寄り

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CNBC恒例、米連邦公開市場委員会(FOMC)直前のFedサーベイでは、市場予想と同じくFF金利を引き上げる声は皆無です。足元の米株高や金融市場のボラティリティの落ち着き、世界経済への悲観後退を受けながら、利上げ開始時期の予想平均値そのものは前回から後ろ倒しにされていました。47名のエコノミストをはじめストラテジスト、マネー・マネージャーなどを対象に4月21~23日に実施した結果は、以下の通りです。

1)4月FOMCで利上げ開始を決定するか
・イエス 0%
・ノー 100%

2)次回の政策決定時期(平均であるため、必ずしもFOMC会合時期にあたらず)
・8月 利上げ94%(前回は6月 90%)
・9月 利下げ 4%(前回は10月、利下げ、10%)
・量的緩和(QE)実施 2%(前回はゼロ%)
・マイナス金利導入、ゼロ%(前回もゼロ%)

3)年内の利上げ回数
・1.6回<前回3月は1.8回(1月は2.1回)

4)利上げ開始時期、予想平均値
・2016年3月、前回9月は2015年11月

5)2016~2018年、それぞれの年末FF金利予想値
・2016年末 0.78%、調査開始以来で最低<前回は0.84%
・2017年末 1.43%、調査開始以来で最低<前回は1.60%
・2018年末 2.07%

6)Fedの利上げ終了着地点
・2.65%、調査開始以来で最低の2015年8月以来並ぶ<前回は2.73%

7)今回の利上げサイクル終了時期平均値
・2018年10-12月期、調査開始以来で最長<2018年7-9月期

8)バランスシートを縮小する時期・予想平均値
・2017年3月、調査開始以来で最長<前回は2017年2月

9)大統領予備選動向は経済見通しにどんな影響を与えているか
・ネガティブ 61%(前回は56%)
・ポジティブ 2%(前回は5%)
・影響なし 37%(前回は39%)

10)米大統領選の結果は、どちらの党の候補が当選すれば経済に良い影響を与えるか
・共和党 30%(前回は40%)
・民主党 18%(前回は9%)
・関係なし 24%(前回は26%)
・どちらでもない、分からない37%(前回は16%)

11)どの大統領候補が経済、株式にとって最適か
民主党候補
・クリントン 経済 15%(前回は16%) 株式 22%(前回は13%)
・サンダース 経済 2%(前回は0%) 株式 0%(前回は0%)

共和党候補
・ケーシック 経済 48%(前回は42%) 株式 50%(前回は30%)
・クルーズ 経済 11%(前回は13%) 株式 0%(前回は11%)
・トランプ 経済 4%(前回は13%) 株式 14%(前回は4%)

12)米大統領として当選する候補は?
・クリントン 80%
・トランプ 13%
・分からない 7%
・ケーシック、クルーズ、サンダース 0%

13)GDP見通し
・2016年 1.95%、調査開始以来で最低<前回は2.14%
・2017年 2.21%、調査開始以来で最低<前回は2.41%

14)CPI見通し
・2016年 1.66%<前回は1.72%
・2017年 2.13%<前回は2.24%

15)S&P500見通し
・2016年12月末 2,114>前回は2,088、2015年12月は2,000と調査開始以来で最低
・2017年12月末 2,234>前回は2,200、2015年12月は2,107と調査開始以来で最低

S&P500見通し、2015年12月以降は上方修正が相次ぐ(ピンクが2016年末、緑が2017年末)
fedsurvey
(出所:CNBC)

16)米10年債利回り
・2016年12月末 2.11%、調査開始以来で最低<前回は2.34%
・2017年12月末 2.58%、調査開始以来で最低<2.83%

17)米国にとって最大の脅威は?
・1位 世界経済の減速 36%>前回は33%
・2位 税制変更/規制強化 22%>前回は21%
・3位 その他 11%>前回は21%

18)米国、1年以内の景気後退入りリスク
・24%<前回は28.8%、2011年12月以来で最悪

19)米国の競争率を高める上で適切な法人税率
・平均値 22.38%

20)租税回避に対する意見
・企業は利益を最大限に拡大するため、あらゆる合法的な行動を取るべき 71%
・企業は税金を支払う義務のある国に本社を置くべき 22%
・その他、分からない 7%

21)米財務省の租税回避対策への意見
・米経済にとってマイナス 67%
・必要な行動 27%
・その他、分からない 7%

22)GDPは弱含みも労働指標は好調、どちらの指標が経済を適切に表すか
・雇用 49%
・GDP 38%
・その他 9%
・分からない 4%

23)最大の関心事は?
・経済 51%(前回は48%)
・株式 20%(前回は18%)
・その他 18%(前回は23%)
・債券 11%(前回は13%)
・為替 0%(前回は0%)

24)FOMC参加者の評価(ゼロが最もハト派寄り、10が最もタカ派寄り)
・シカゴ連銀のエバンス総裁 2.76点>2015年12月は2.33
・イエレンFRB議長 3.03<2015年12月は3.69
・ブレイナードFRB理事 3.11>2015年12月は2.91

・NY連銀のダドリー総裁 3.20<2015年12月は3.26
・ボストン連銀のローゼングレン総裁 3.46>2015年12月は3.18
・タルーロFRB理事 3.73<2015年12月は3.76

・パウエルFRB理事 4.81>2015年12月は4.47
・ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁 4.97
・ダラス連銀のカプラン総裁 5.30

・フィッシャーFRB副議長 5.53>2015年12月は5.09
・フィラデルフィア連銀のハーカー総裁 5.64
・セントルイス連銀のブラード総裁 5.88>2015年12月は6.53

・クリーブランド連銀のメスター総裁 6.71>2015年12月は6.28
・カンザスシティ連銀のジョージ総裁 7.68>2015年12月は7.47

――いかがでしたか?米大統領選をめぐり、ウォールストリートは好むと好まざるにかかわらずクリントン候補が勝利するとの予想が大勢を占めていました。共和党のトランプ候補は予備選や党員集会で獲得代議員数を伸ばし過半数に到達する可能性が強まってきたものの、本選を制するとはみられていません。

Fedの政策は利上げ回数、バランスシート縮小、利上げ終了着地点とそろって予想がハト派寄りとなりました。米雇用統計で堅調な数字が続き市場関係者も評価していることが今回の結果で判明したものの、金融政策に影響を与えるとは考えていないようです。アトランタ地区連銀の予想では米1-3月期GDPが0.4%増にとどまるほか、少数とはいえ年内の利下げを予想する市場関係者の存在もあり、米経済に楽観的になりきれないのでしょう。逆に言えばS&P500見通しが上方修正されているのは、緩和よりな政策が継続するとの見通しの上に成り立っていると読み取れます。

(カバー写真:Wally Gobetz./Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。