トランプ大統領は日米関係の歴史を学べば怖くない

2016年05月06日 17:00

米軍駐留経費の負担をトランプ氏が求め、撤退もありうると言い出すなど、日米関係をめぐる太平洋の波高しという感がする。

しかし、アメリカの捕鯨船が日本近海に現れてから二世紀足らず、太平洋戦争という悲劇はあったものの、ヨーロッパ外の日本とアメリカという二つの国が、太平洋を挟んで、この二百年間に世界でもっとも急速に民主主義と経済を成長させたことが世界をよくしたことは疑いない。

日米はそれぞれに問題を抱え、双方に反米・反日勢力も抱え、そこに中国の影が忍び寄っている。しかし、双方が日米主軸でアジア・太平洋の政治と経済の自由主義を擁護するパートナーとして手を結べば鬼に金棒と考えることこそ、世界をよくするためにも、両国民にとっても王道なのである。

そういう意味でも日米同盟の過去が実り多いものであり、小さな齟齬を大きな対立に発展させていくような愚劣な考えが一利も無いことを正しく認識するべきだということを、あらためて再認識すべきだと思う。

日米両国の関係が、アメリカの政治家の浅はかな思いつきで損なわれたことはこれまでも何度もあった。ウィルソンは、原敬首相と幣原喜重郎駐米大使というもっとも親米的な外交布陣の日本に対して実に冷淡だった。ハーディング時代のワシントン体制は日英同盟を潰して何の役にも立たないワシントン体制を押しつけた。F・ルーズベルトは家族の事情から親中に傾きすぎドイツと戦争をするために日本を利用した。キッシンジャーは東洋史への無知から日米関係を破壊したなど、危機は何度もあったのである。

トランプ大統領になったらどうしたら良いか分からないということはありえない。過去の歴史を知り、教訓を得ることで、十分に乗り切れるはずだ。

最後に、安倍首相が心がけるべきことは二点ある。第一は、実業家であるトランプとは、ひとつひとつの問題で足して二で割るのでなく、関係ない問題でもいいから取引をするというセンスが大事だと言うことだ。

もうひとつは、日欧同盟の重要さだ。アメリカが我が儘なときには、日本と欧州が手を組むしかない。1980年代から90年代にかけての通商問題などでは、この同盟がものをいった。そういう意味でも伊勢志摩サミットが記載され、その準備に安倍首相がヨーロッパを歴訪するなどしていることは、とてもグッドタイミングだと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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