サウジアラビア、マッキンゼー流改造

2016年05月13日 06:00

ブルックリン研究所のMr. Adel Adbel Ghafarが興味深いブログを書いている。”Saudi Arabia McKinsey reshuffle” (May 11, 2016 9:00am)というタイトルのものだ。

先週行われた内閣改造も、先月モハマッド副皇太子(MBS)が発表した経済改革案 “Saudi Arabia Vision 2030” も、すべてマッキンゼーが2015年12月に作成した報告書 ”Moving Saudi Arabia’s economy beyond oil” が下敷きになっているというのだ。

これに関連して、Bloombergが2016年2月25日に報じた “McKinsey scores as Saudi call in consultants for economy reboot”と題する記事を紹介しているが、それによると昨今サウジ政府が払っているコンサルタント費用は年間12~13億ドルにも上り、今年はさらに12%増になりそうだ、という。

彼のブログのポイントは、この経済改革は社会改革に及ばざるを得ないが、(FTの表現を使えば 「揺りかごから墓場まで」)国家がすべて面倒を見ることに慣れた一般国民の意識改革ができるかどうかが鍵だ、という点にある。

全くその通りである。

ご存知のように、1973年にオイルショックが起こってから43年ほどが経っている。つまり、現在の50歳以下のサウジ人は全員、国家が豊かになって、それこそ「揺りかごから墓場まで」面倒をみてもらう環境の中で物心がつき、そして育っているのだ。

サウジの学校では、イスラム教の勉強が3分の1、アラビア語の勉強が3分の1、その他が残りの3分の1の割合で教えているそうだ。海外留学をして必死に学んだ人たちが有能なテクノクラートになっているのだろうが、多くの庶民のアベレージ能力では、日本のようにせちがらい実社会ではおおよそ役に立たないだろうことは、想像するに難くない。

かれらの意識改革は確かに大問題だ。

筆者は、さらに超保守的な宗教界の反応と、王族の意識改革にも強い関心がある。

これまで国民に対し、「忠誠心」と引き換えに供与してきた諸々の「福祉」を削減するからには、王族たちの特権にも手をつけざるを得ないだろう。そうでなければ、国民の「忠誠心」は維持できないと思われる。

サウジの人口増と同じように王族の人数も増えており、すでにプリンスだけで7000人以上いると伝えられている。

おそらく一般庶民には想像もできないほどの特権を得ている王族たちが、はたして必要とされる意識改革が出来るのだろうか?

王族たちがエンジョイしている特権の一端を窺わせるエピソードをひとつ紹介しておこう。

時は2000年前後、筆者が2年間のテヘラン勤務の後、横滑りで二度目の駐在をしていたロンドンでの出来事である。

ある夏の日、ハイドパークのそばを豪華なスポーツカーが走っていた。当然、オープンカーである。その車のナンバープレートは、なんとアラビア文字だった。筆者がテヘランで見知ったペルシア数字と同じなのだ。

なぜアラビア数字のナンバープレートをつけたスポーツカーが、ロンドンの中心地を走っているのか?

疑問は翌日の新聞で判明した。サウジの某王子が、夏休みをロンドンで過ごすにあたり、乗り馴れた車がいいと、普段運転しているスポーツカーをジャンボ機に乗せて運んで来た、と報じていたのだ。

うーむ。

サウジの王族たちが、庶民の想像を超えた特権を享受しているのは間違いがないね。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年5月12日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。

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岩瀬 昇
エネルギーアナリスト

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