住宅の高品位化とホームエクイティローンの可能性

2016年05月31日 11:30

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ホームエクイティとは、住宅の経済価値と、当該住宅に設定されている住宅ローン残高の差分のことである。

もっとも、より正確にいえば、住宅の経済価値ではなくて、住宅の経済価値に一定の掛目をとったものである。掛目をとるのは、資産を担保として評価するときの金融界の通例である。資産を担保として処分するときに、資産価値通りに売却できるとは限らないので、安全を見込んで資産価値を低く評価しておくのだ。

さて、資産価値100の住宅があって、担保掛目が70%だとすると、最大70まで住宅ローンを受けられる。実際に、70のローンを受けると、当初は70-70=0になるから、ホームエクイティはない。

住宅ローンは、元利均等弁済だから、時間の経過とともに、ローン残高は減少する。他方、住宅のほうも減価償却していくので、簡単にはホームエクイティは発生しない。しかし、いずれは、減価償却しない底地部分の比重が増大する、市場要因で住宅価格が上昇する、減価償却速度よりも速い弁済速度を採用しているなどの理由で、ホームエクイティが発生する。

さて、ホームエクイティが発生すれば、それを担保とした消費者ローン等が考えられる。それがホームエクイティローンである。

日本では、ホームエクイティローンは普及していない。なぜなら、そもそも、簡単にはホームエクイティが発生しないからである。それは、住宅の耐用年数が短いからである。日本の住宅は、資産であるよりも、耐久消費財なのである。資産なら、資産価値があり、必ず、ホームエクイティが発生するはずなのである。

もしも、耐用年数の長い資産性のある高品位の住宅に転換すれば、一方で、価格が上昇するという問題もあろうが、他方では、それを補うように、ホームエクイティローンを活用した改修投資、中古市場の拡大、居住環境の改善等、様々な利点も生じるであろう。

大量生産、大量消費という高度経済成長時の仕組みは、もはや、有効ではなくなっているなかで、住宅市場には、いまだ、旧態依然たるものが残っているのではないのか。ここにも、構造改革による成長の可能性がありそうである。

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
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facebook:森本紀行

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