米新規失業保険申請件数、ストライキの影響払しょく

ベライゾン・ストライキ

米新規失業保険申請件数は5月21日週に26.8万件と、市場予想の27.5万件を下回った。前週の27.8万件からも減少し、5月7日週の急増が通信大手ベライゾンのストライキ要因だったことを確認した。米労働省は特殊要因を指摘していなかったもののワイオミング州のみ推計値とし、引き続き30万件割れは64週連続で1973年以来の最長とのコメントを寄せた。4週平均は27万8500件で、前週の27万5750件から増加。1973年以来で最低を示した4月23日週の25万6000件を上回る水準を保つ。

米新規失業保険申請件数、再び年初来のレンジ下限にさや寄せ。

joblessclaims

(作成:My Big Apple NY)

5月14日週までの継続受給者数は216.3万人と、前週の215.3万人から増加した。被保険者に占める失業者の割合は、14週連続で1.6%だった。

5月14日週の州別動向は、以下の通り。

(増加が顕著だった州)
・ミズーリ州 4153人増、前週の1218人減を超える増加
→製造業、宿泊/外食、輸送/倉庫が牽引
・カリフォルニア州 1645人増、3週ぶりに大幅増加
・インディアナ州 658人増
・アイオワ州 430人増
・カンザス州 406人増、前週の3261人減から反転

(減少が顕著だった州)
・ニューヨーク州 1万5881人減、前週の増加分を打消し3週ぶりに減少
→輸送/倉庫、教育サービス、宿泊/外食で減少
・ミシガン州 3654人減、前週の3278人増から減少へ反転
→管理/企業サービスで減少
・テネシー州 1561人減、2週連続で減少
・イリノイ州 703人減
・ペンシルベニア州 668人減、前週の3547人増から反転

――米新規失業保険申請件数は元のレンジに戻り、月初の急増がNY週の春休みに絡む教育セクターでの押し上げに加え、通信大手ベライゾンのストライキだったようです。4週平均は引き続き上振れ傾向にありますが、こちらも以前の水準を回復する期待が高まります。ベライゾンのストライキ自体も暫定合意に到達しており、収束する方向。不透明要因が排除された格好です。

4月13日に幕を開けたベライゾンのストライキについては、米5月雇用統計のサンプル週も継続しており、統計に影響が及ぼすのかが気掛かりですよね。バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、ストライキにより「3.0万~4.0万人」の下押しを予想しています。もっとも、2011年に発生したベライゾンのストライキを振り返ると「通信セクターで4.6万人減の下押しがみられた一方で、派遣が3.8万人増加しストライキでの雇用減を相殺していた」といいます。額面通り3.5万人が全体を押し下げなければ、米5月雇用統計への影響は限定的となる可能性を残します。

(カバー写真:Paul Weaver/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年5月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。