【映画評】探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海

2016年06月12日 06:00
サブ1 のコピー瀬戸内海の小さな島に身元不明の死体が6体流れ着くという不可解な事件が発生。通称“死体島”と呼ばれるその事件を、編集者の小川みゆきから聞いた天才脳科学者の御手洗潔は、この難事件に関心を持ち、すぐに瀬戸内海へと飛ぶ。御手洗は、そこが太古の昔から変わることなく6時間ごとに潮の満ち引きが繰り返される時計仕掛けの海であることから、死体は広島県福山市から流れ着いたことを突き止める。だが、時を同じくして、外国人女性の変死事件、滝つぼに口と目をふさがれた男女が拘束されるなどの怪事件が次々と起こる。御手洗は、歴史を遡って事件を調べはじめるが…。

島田荘司の長編ミステリーで、人気シリーズ「御手洗潔シリーズ」のエピソードをもとにした謎解きミステリー「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」。物語は、死体が流れ着くことを発端に、複数の事件や歴史の謎がからみあい、複雑な様相だ。事件のつながりは、比較的わかりやすいのだが、何しろ説明しないといけないことが多すぎるので、観客が考えるヒマもなく、天才脳科学者ミタライが一瞬のうちに答えを出してしまう。おかげで延々とミタライの説明を聞いている有様だ。これでは、まるでテレビの2時間ドラマを見ているようで、さっぱり盛り上がらない。おまけに、映画オリジナルのヒロインである広瀬アリスの存在が謎解きのテンションを下げまくる。劇中でミタライから「うるさい」と言われる場面があるが、まさにそれだ。はっきり言って、浮いている。

サブ2 のコピー映画なので華やかさは必要だが、ミステリーの主人公の相棒にはもう少し知性がほしい。「相棒」シリーズの和泉聖治監督なので、そこはなおさら残念だった。文句ばかり言っているが、見所はもちろんある。まず風光明媚な瀬戸内海と福山市の描写が魅力的だ。穏やかで陽光きらめく瀬戸内海、撮影に全面協力している福山市の魅力的なたたずまいは十分に伝わるので、観光PR映画としてはかなり成功している。さらに、福山に伝わる村上水軍の歴史やクビナガリュウの伝説などのロマンも。そしてタイトルにもなっている星籠(せいろ)とは…。これが実にロマンチックだ。まぼろしの歴史がふと顔を出すその瞬間を楽しんでほしい。

【45点】
(原題「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」)
(日本/和泉聖治監督/玉木宏、広瀬アリス、石田ひかり、他)

(説明口調度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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