巨額買収に思うこと

2016年06月14日 10:24

リンクトインがマイクロソフトに買収されることになりました。その金額約2兆8000億円。買収に伴い株価へのプレミアムは5割近くとまさに札束でほっぺたをひっぱたく買い方であります。リンクトインはSNSでもビジネス系に強みがあり、独自性がありました。会員数は4億人以上とされます。

巨額買収は昨日今日に始まったわけではありません。昔からどの業界でも延々と続いています。これぞ資本市場の醍醐味ともいえるでしょう。儲かって財務的に余裕がある企業が成長する会社を次々と傘下に取り込んでいくこのシナリオは同業者同士の戦国時代、非効率性、そして過剰な価格やサービス競争を引き起こさない適度なコントロールを維持することができます。

また、買収手法は成功を収めた企業が自社の成長期のピークを過ぎた際に次の成長期へ入るための刺激やモチベーションになることもあります。

そう考えると私は次の最大の焦点はアップルだろうと思っています。この会社にバフェット氏が10億ドルも投じて株を購入することにしましたが、ほかの主要投資家は基本的に売りで対応しています。アップル社から売り出される最近のスマホが今一つですし、タブレットも市場的に成長の壁にぶち当たっていることがあるのでしょう。

更にアップルウォッチにしてもアップルTVにしても製品としては今一つどころかそんなものあったのか、というレベルであります。そのアップルは成熟企業として内部留保が大きく、CEOのティムクック氏も次の成長のために大型買収を試みるという発表をしています。その買収資金余力は25兆円ですので買えない企業はないといっても過言ではありません。

ではどこを狙うか、ですが、個人的にはテスラがショッピングリストに入らないはずがないとみています。自動車とネットの融合はIoTよりも先行しているわけでその先駆的役割を果たすテスラはアップルにとって垂涎の的でありましょう。価格はざっくり3兆円であります。

こう見ると日本には7つもの主要自動車メーカーが存在しますが、外から誰も買いたいと思われないところに日本企業の壁が見て取れます。つまり、外資が喜ばない日本企業であります。なぜか、ですが、日本企業の組織体が外国企業のそれに比べて異質すぎることはもちろんのこと、英語などのコミュニケーション能力、更に社員の国際感覚が外資には分厚い壁のように感じます。

日産は外資ではないか、というかもしれませんが、企業活動はルノーと完全に仕切られ、一部だけが融合しています。しかもフランスも文化的に自己の殻が厚い国です。まさか日産の社員がルノーと同じ釜の飯を食っているという同朋意識を持っているとは思えません。「俺が食わしている」ぐらいでしょう。この意識は日本企業を孤立化させる可能性を秘めているかもしれません。

世界の有り余るカネは弱肉強食を繰り返し、市場を寡占化することで高い利潤を確保することを戦略とします。日本企業は内部留保も大きくなり、その「強食」の側にいるのですが、海外企業を食っても失敗が大きく、価値を遺棄させる場合があまりにも多いのです。つまり、食う方も食われる方もイマイチでM&A市場から取り残されつつないでしょうか?

昨日の東京株式市場は英国問題に絡み、3.5%以上下落しましたが、実はこれほどうろたえたのは日本だけでドイツ、フランスは1.8%程度の下落、当事者のイギリス1.2%下落、アメリカは0.74%下落と比較的落ち着いた展開となっているのです。かねてから日本だけ異様にボラティリティが高いとされる一つの理由は日本企業が世界の企業連合と「お仲間関係」になく、資本的な結びつきが薄いことはあるのかもしれません。

正直、これは日本企業の将来性に思った以上のリスクを暗示しています。SNSの「LINE」が日米同時上場をします。同時上場とはなかなかやるな、とは思いますが、この会社の親会社といえば韓国のネイバー社であります。特筆すべきは同社のシン ジュンホ取締役は前期、ストックオプションも含め、なんと52億5000万円の報酬となっています。日本人が稼いで韓国人が吸い上げていく構図だけはよく知っておくべきでしょう。

日産のゴーン社長の報酬がどうのこうのと時々目にしますが、海外ではそんなレベルではありません。生き馬の目を抜く世界が日々繰り広げられているのです。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 6月14日付より

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