【映画評】TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

2016年06月28日 06:00

「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」 映画の宮藤官九郎 (キネマ旬報ムック)

男子高校生の大助はクラスメートのひろ美ちゃんに片思い中。何とかして告白しようとしていた矢先、修学旅行中の事故で他界してしまう。大助が目覚めると、そこは人々が責め苦を受け続けている地獄だった。「何で俺だけ?!このまま死ぬには若すぎる!まだキスもしたことないのにっ!!」。死んだことを受け入れられずに混乱する大助の前に現れたのは、地獄農業高校の軽音楽部顧問で、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)を率いる赤鬼のキラーK。彼によると、えんま様の采配によっては現世に転生できるチャンスがあるという。こうして、ひろ美ちゃんに会いたい一心で、キラーKの鬼特訓のもと、よみがえりを賭けた大助の地獄巡りが始まるのだが…。

クドカンこと宮藤官九郎による超絶地獄コメディー「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」。本作は、本来2016年2月に公開予定だったものが、劇中に登場するバス転落事故と酷似した悲劇が起こってしまい、被害者やご遺族に配慮という形で延期になっていたものだ。今回、ようやく晴れて公開になったことをまずは喜びたい。物語は、不本意にも地獄に落ちた男子高校生(残念かつ可愛い系)が、赤鬼のキラーK(クールかつお笑い系)の指導のもと、あの手この手で現世に転生しようと奮闘する、ハチャメチャな音楽コメディーである。クドカン映画の例に漏れず、圧倒的な情報量で突拍子もない世界観が描かれる。そもそも、死んでいるのに“成長物語”というところが微笑ましい。出演者たちは、これまた、例によって豪華すぎる俳優たち。中でも今回は、音楽界からのカメオ出演がすごい。ジゴロック(地獄ロックバトルロイヤル)の挑戦者たちは、ぜひチェックしてほしい。

ベースは純愛、テイストは特濃。今までのクドカン映画と少し違うのは、地獄パートが意識的に、演劇的に描かれていることだろうか。良くも悪くもクドカン・ワールド全開のこの映画、下ネタ含有率高めのノリの良さについていけないと見るのはツラいかもしれないが、原作ものやTVドラマの映画化があふれる中、オリジナル作品であることが何よりも頼もしい。本格的な音楽活動で男性ファンも多いという長瀬智也のロック魂は、一見の価値がある。
【50点】
(原題「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」)
(日本/宮藤官九郎監督/長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、他)
(ギャグ度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年6月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

 

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