社外役員と野党の国会議員

松田 公太

今日から7月となり、株主総会ラッシュが一段落しました。

日本では6月(特に月末)に株主総会が集中しますが、それは企業慣行と会社法の規定に原因があります。

株式会社の多くは国の会計年度と一致させようと、事業年度を4月始まりの翌3月終わりとしていますが、それが終わると一定の時期に「定時株主総会」を招集しなければならないというルールになっています。

ただ、この「一定の時期」については、別に何カ月以内というような決まりはありません。

しかし、通常は株主確定のための基準日が設けられており、定時株主総会で権利を行使できるのは3月31日(事業年度終了日)に株主だった人であると定めているところが一般的なため、招集日が同じタイミングになります。

その理由は、基準日に関しては、総会当日の株主と、そこで議決権を行使する人との乖離が大きくならないよう、開催日の3カ月以内の日を設定しなくてはならないというルールがあるから。

それによって、3月31日とした場合には、6月30日までに総会を開かなくてはならなくなるのです(また、そこまでであれば「一定の時期」という要件もクリアできると考えられています)。

会社としては準備の時間は多いほど安心ですので4月や5月ではなく6月の終わりごろにしようということになります。もっとも、なるべく多くの他企業と同じ日に開催し、総会屋やうるさい株主に来られる「リスク」を小さくしようというのが本音かもしれません。

さて、今年のニュースで総会の様子が大きく取り上げられた企業をみると、不祥事を起こした会社(燃費計測での不正問題があった三菱自動車やスズキ、それにメルトダウンを隠していた東京電力など)、もしくはお家騒動がある会社(出光、大塚家具、ロッテ、大戸屋、セコムなど)でした。

やはり一悶着ありそうなところに関心がもたれていますが、いずれの企業の場合も背景にコーポレートガバナンスの問題があるように思えます。

つまり、会社には、様々なステークホルダーの立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速な意思決定を行うことが求められていますが、それを担保する仕組みがなかったり、うまく機能していなかったりするのです。

そのために、コンプライアンス軽視や隠ぺい体質に起因する組織ぐるみの不正行為、独善的な取締役によるワンマン経営等が起きてしまっているわけですが、これらは企業価値を著しく損なうものであり、お客様にも従業員にも、そして国の経済にとっても大きなマイナスとなりますので、しっかりと防いでいかなければなりません。

直接的には、会社の「所有者」である株主が経営者や従業員の行動をコントロールすることが望ましいといえます(株価を毀損するようなことはしないと期待できるため)。

しかし、会社運営をチェックする意思及び能力がある人だけ株主になるというわけではないので、実際には難しいでしょう。

現実的な方策として考えられるのは、経営の意思決定及びその実行を監視・監督する社外役員制度の強化です。

内部の人間は、会社に染まってしまっており、またしがらみも多く、外部や株主の視点から適切なコーポレートガバナンスを行うことができません。

それに対して社外取締役は、その会社の業務には精通していないかもしれませんが、経営全般に関するプロとして、もしくは法律・会計の専門家として、意思決定の透明性・公平性を向上させる役割を担うことができます。

以前から提言してきましたが、やはり社外取締役の義務化は実現しなければなりません(http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-11849796247.html)。

また、取締役が大勢いる中で一人や二人いても「とりこまれてしまい」何もできないということになりかねませんので、大会社等の場合には一定割合以上にしていくべきでしょう(実際、私が知る多くの会社の社外役員は「友だち」がなっているケースが殆どで、あまり意味がありません)。

より厳しくということであれば、社内役員による社外役員への接待や贈答等を制限するという方法もあるかもしれません。

私のような野党国会議員の役割は、国民の立場で、しがらみ無く、正論で政府(与党)にぶつかることです。

社外役員も株主の立場で、しがらみ無く、正論で経営陣(社内役員)に物を申せる仕組みにしていかなければなりません。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会)のオフィシャルブログ 2016年7月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。