日本人も無関心ではいられない海外テロ事件

2016年07月03日 12:43

バングラデシュの事件はテロが遠い国の事件だと思っている多くの日本人を再び覚醒させました。

最近では2013年のアルジェリアの襲撃事件で日揮の関係者10名が犠牲になりましたが、今回は国際協力機構の関係の技術者たちが比較的安全地帯の人気カフェで巻き込まれたことに「いったいどこなら安全なのだろう」と思わずにいられません。

日本人も世界の僻地など隅々にまで進出して業務をしています。当然、テロが発生しやすい地帯、地域も多く、命がけの業務につかざるを得ません。こんな形の犠牲者が次々に起きてしまうと日本人がより萎縮しないか心配になります。日本人の技術は世界で必要とされていますが、これでは派遣できなくなってしまいます。

自衛隊の海外派遣は国内で様々な議論を呼びました。私から見ればそれでも彼らは特殊な訓練を施したプロ集団です。一方、技術者たちはその専門分野の頭脳や技術を売りとしていますが当然、武装も訓練もしていない無防備状態です。自衛隊の海外派遣と同一尺度で考えてはいけないのかもしれませんが、なにか腑に落ちません。もともとラマダンで手薄な時にテロが起きやすいと警告されていた中での事件、本当に何か対策はなかったのでしょうか?

ところでテロが多くなると利するのはドナルド トランプ氏。最近はクリントン氏との直接対決となる中で過激発言にも一定のコントロールをしているとされています。新しい選挙対策の責任者になってから対イスラムについても「締め出し」的な発言から緩和的発言に変わってきています。

そんな中、対抗馬クリントン氏が私用メール事件でFBIの任意調査を受けたことが判明しました。民主党出身の司法長官はその判断を現場に仰ぐとしていますので先行きは不透明です。トランプ氏はその攻撃の力を緩めることはないでしょう。仮にトランプ氏が有利になればアメリカはイスラムから敵対視されやすくなりそうです。個人的にはテロが起きやすいところはトルコや中東のように地政学的背景がある場合とフランスやベルギーのように政治的背景がある場合があるように感じます。

フランスは風刺画やスカーフ(ベール)制限などでテロリストを刺激したことがより問題を複雑にした経緯があります。トランプ氏も必要以上にテロに過激な発言を繰り返すとアメリカが再びターゲットにされやすくなります。これは恐ろしいことで正義を振りかざせば振りかざすほど民の危険が増す、というあってはならない事態が生じてしまいます。

来年、フランス、ドイツ、オランダで国家元首の選挙があります。また、オーストリアでは5月に行われた大統領選でリベラル系の前党首が3万票強の差でかろうじて極右政党をかわしていたものの開票プロセスに問題があったため、選挙やり直しが憲法裁判所から命じられました。選挙は今年の秋に予定されています。

私は「小さくなる世界」とブログで書かせていただきました。今の世の中は明らかにテロに屈しないという国民の行動が国を閉じるというボイスに置き換わってきているように思えます。考えてみれば英国も大きなテロ襲撃を何度も受けてきた経緯があります。国民のボイスは単に移民に仕事が奪われるというだけではなく、テロの脅威から距離を置きたいという心理が働いているようにも思えます。

イスラム教徒はその出生率の高さから急速にキリスト教徒を追い上げています。最近の調査によると2010年時点でキリスト教徒とイスラム教徒の比率は31%と23%。これが2070年には双方が拮抗するとされています(日経)。確か数年前の日経ビジネスの特集ではもっとペースが早いということが書かれていた記憶があります。テロリストの多くはイスラム教の原理思想者の主義主張に端を発しています。そしてその原理は教徒同士の戦いでもあり、現代キリスト教のように一定の落ち着きは見せていません。

考えれ見れば歴史の多くは宗教がらみの戦争でした。今、我々は残念ながら新たなる宗教戦争の真っ只中にいますが5年後、10年後の教科書には911に端を発したテロとの戦いが「新たな形の世界戦争」として定義され、記載されることになるかもしれません。我々は第二次世界大戦以降、局地戦争を除き、平和な時代を築き上げてきたといいますが、実際には日々、世界の各地で起きているこのテロとの戦いは世界規模の戦争そのものであると言い切ってよいでしょう。

日本にはテロは無縁だと言わず、それこそ政府やマスコミがもっと真剣にこの問題を取り扱うべきだと思います。オウム真理教の時はあれだけ大騒ぎしましたがそれも立派なテロだったのですから。

では今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 7月3日付より

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