なぜ、JR中央線の駅の数は圧倒的に少ないのか?

内藤 忍

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東洋経済オンラインで大坂直樹記者が「JR中央線の魅力」について書いています。都心で不動産投資をする人にとっては、参考になる情報だと思います(図も同サイトから)。

東京の都心から南西へ向かって郊外に走っている7つの路線の都心駅から30キロ圏内を比較すると、駅の数に大きな違いがあることがわかったそうです。具体的には下記の路線と区間で比較しています。

中央線快速(新宿―立川)
京王線(新宿―高幡不動)
小田急線(新宿―町田)
西武新宿線(西武新宿―所沢)
田園都市線(渋谷―中央林間)
東横線(渋谷―元町中華街)
京急本線(品川―上大岡)

同じ距離で比較した場合、私鉄各路線の多くは、26から27駅なのに対して、JR中央線快速は15駅しかありません。

そして、中央線の立川からは、どの列車に乗っても36分以内に新宿に到着します。これは三鷹まで総武線が並走していて複々線になっていることもありますが、圧倒的な輸送力になっています。

一方で、例えば田園都市線なら、中央林間から渋谷まで所要時間が30分台の急行は82本だけしかありません。京急は特急・急行系列車なら所要時間26分で最速となっていますが、各駅停車の所要時間は、最短でも57分。時間帯によっては80分を超える場合もあるそうです。これは、駅数が32あるのに対して、特急・急行系の停車駅が8駅しかないため、通過待ちの時間がかかることが原因です。

中央線の駅の数が少ないということは、それだけ駅の近くの土地の希少性が高いということになります。また、中央線の場合、駅間が離れているため、バス便も発達していて、その分駅の商業施設の集積が進んでいます。

中央線の駅の数が少ないのは、JRの前身が国鉄で、駅を作ってその周辺を不動産開発するといった私鉄がやってきたビジネスモデルが存在しなかったことが理由のようです。

東京の不動産投資は23区が基本だと思っていますが、SUUMO(スーモ)が発表した「住みたい街ランキング2016」のベスト30には中野、荻窪という23区エリアの駅だけではなく、吉祥寺(武蔵野市)、三鷹(三鷹市)、立川(立川市)もランクインしています。立川というと遥か彼方のイメージですが、中央線という路線の特殊性から考えると面白いエリアかもしれません。

7月28日に開催される赤坂投資クラブのセミナーとパーティでも、東京都心の不動産投資戦略について専門家と投資家が情報交換できる場を作る予定です。歪みの宝庫である実物資産には投資のアイディアはまだまだたくさんありそうです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。