ベビーシッターを利用したことはありますか?

松田 公太

私は米国在住のころ、様々なアルバイトを経験して育ちました。
新聞配達(2年間)、近所の雪かき・草刈り、家庭教師、飲食店(マクドナルド2年間)。
そして、時間が空いているときにはベビーシッターの依頼も積極的に受けていました。

このベビーシッターですが、待機児童対策になる可能性を秘めているものの、日本ではまだまだ広がっていません。

それは何故なのか、今後どうすべきかについて、株式会社カラーズの経沢香保子社長に議員会館でお話を聞くことができました。

経沢さんはご自身の経験をもとに、女性が子どもを育てながらでも仕事で輝ける仕組みをつくるため、「キッズライン」(https://kidsline.me/ )というベビーシッターのマッチングサイトを運営しています。(AirbnbやUberのように、身元確認や、利用者とサービス提供者が双方向で評価できる仕組みも取り入れていて好評とのことです)

その中で感じているのは、行政のあり方に柔軟性がないということ。

厚生労働省は、おととし3月に起きたシッター宅での2歳児死亡事件を受け、今年から再発防止策としてベビーシッター個人とシッター事業者に都道府県への登録を義務づけています。

ところが、その手続が自治体ごとで形式やフォーマットが違ったりして、かなり煩雑になっているそうです。

その他、マッチングサイトを運営する業者等は補助の対象になるのがなかなか難しいといった問題もあるとのこと。

子どもの安全を守るために登録や研修は必要だと思います。ただ、それらは必要十分なものにすべきですし、不必要な規制やルールはできるだけなくすべきです。現在の制度は、そういった観点からの見直しが必要でしょう。

また、ベビーシッターとは別に、「保育ママ」という制度もあります。これは厚労省のいう「家庭的保育事業」で、保育士などの資格を持つ方が自宅や一定の施設で幼児を預かるというものです。

この制度も規制が厳しい内容になっています。例えば、幼児一人あたり保育室の面積を3.3平方メートルとする下限や、自身の子どもが6歳未満で自らその幼児を保育している間は保育ママとなれないといった決まり(一部の自治体)等があります。それらは本当にマストなルールなのか再考する必要があります。

待機児童は、早急に解決しなくてはならない課題ですが、規制が厳しく、なかなか改善が見られません。保育園を増やすのも一つの方法ですが、そのやり方ではお金も時間もかかります(人口減少時にどうやって維持するのかという問題もあります)。いま必要なのは、ベビーシッターや保育ママ制度の緩和を進め、フレキシブルに用途やニーズにこたえていけるようにしていくことだと思います。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会)のオフィシャルブログ 2016年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。(17時45分、一部加筆しました)

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