BREXITの次は、アメリカ発の衝撃が世界を襲う?

安田 佐和子

トランプ

英国民投票で、まさかの欧州連合(EU)脱退が過半数を獲得した衝撃からはや半月。

次なる衝撃は、アメリカが震源地となって世界を揺るがす地合いが整いつつあります。

グラウンド・ゼロは、オハイオ州クリーブランド。そう、18〜21日に共和党全国大会が開催される場所です。このままであれば予備選通りに投票を行う第1回目で、トランプ候補が正式指名に必要な代議員数1237人以上を獲得する見通しですよね。

しかし、ここに来て”トランプ下ろし(Dump Trump)”を始めとしたグループが最後の巻き返しを図るべく奮闘中。全国党大会の規則を変更し、予代議員に自由な投票を承認する”良心条項”を適用すべきと主張しています。以前から何度かブローカー・コンベンションの可能性を指摘させて頂いていましたが、もしかすると現実となるかもしれません。反トランプ派が担ぎ上げようとしているウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事本人も、党大会では「ふさわしいと見なすやり方で投票すべきだ」と発言。自由投票への支持を遠回しに支持した格好です。

かたやトランプ候補、クリントン候補に金満政治家と批判した画像にユダヤ人の象徴である”ダビデの星”が背景に入っていたため猛反発を食らうなか、映画「アナと雪の女王」にかこつけて自己弁護中。

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(出所:Twitter)

では、どうすればのルールを変更できるのでしょうか?以下は、時間軸を含めたプロセスとなります。

1)11〜12日、共和党全国委員会(RNC)全員にルール変更内容を公表

2)14〜15日、RNCの規定委員会メンバー112名が変更の承認を投票

3)規定委員会メンバーのうち25%すなわち28人の支持で、変更案を承認

4)党大会で代議員2472人が承認された変更案に投票、過半数にあたる1237人の賛成で効力を発揮へ

ご覧の通り、RNC規定委員会のたった28人が支持すれば変更案を党大会へ持ち込めます。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、トランプ支持のランディ・エバンスRNC委員(ジョージア州)の見立てでは規定委員会メンバー112人のうち18人が支持を表明しているとか。トランプ陣営の調査でも15人が自由投票へ傾いているとされ、28人という壁は決して高くなさそうです。

肝心の党大会での投票はどうでしょうか。前述のエバンス委員いわく「代議員のうちトランプ候補支持者は890人で、680人は不支持であるため、残りの900人の3分の2を獲得する必要がある」。共和党大会まであと2週間を切るなかで、600人超の支持を集められるのでしょうか?

もちろん、米大統領選を前に共和党分裂を回避する可能性は捨てきれません。民主主義の根幹を揺るがすリスクをはらむため、予備選結果をないがしろにする”良心条項”の取り入れを「突飛だ(far-fetched)」と批判する声も聞かれています。

しかし、7日に予定するトランプ候補と共和党有力者との会合に多くの上院議員が欠席を表明していることも事実。ミッチ・マコーネル院内総務は出席予定であるものの、共和党の正式候補支持を表明済みのジョン・マケイン議員(アリゾナ州)、同じくケリー・アヨット議員(ニューハンプシャー州)は欠席の見通しで、予備選での元ライバル、マルコ・ルビオ議員(フロリダ州)に至っては党大会すら不参加の予定だといいます。

トランプ候補の下で、共和党が結束しつつあるとは程遠い環境であるのは間違いありません。共和党の強力な支持者で産業界の大富豪コック兄弟、ヘッジファンドの巨星ポール・シンガー氏もトランプ候補に距離を置きます。BREXIT然り、何が飛び出すか全く分からない様相と化してきました。

(カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年7月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。