選挙ポスター掲示場はオワコン

2016年07月16日 06:00

都知事選が始まったが、ポスター掲示場が冴えない。選挙ポスター掲示場

写真は公示二日目の品川区の掲示場だが、政党公認の候補者が誰もいない。従来の選挙の常識ならば、主要政党の公認候補者は公示日にポスターをバッチリ張り終えて、強固な組織票をアピールして、泡沫候補者との格差を見せつけるところだが、今回はそうでもないらしい…「公認候補だから安泰」という選挙でもないはずなのに。

2013年にインターネット選挙活動が解禁され、先日の参院選ではさらにLineなどSNSによる情報収集がわりと投票行動を動かしていたらしい。その一方で、紙の新聞や書籍の長期低落傾向も著しい。私も数年前から紙の宅配新聞は止めているが、たまにファミレスなどで手にすると、活字の大きさや、「尿もれパンツ」「昭和歌謡大全」といった広告のオンパレードに戸惑ってしまう。そして、「紙メディアの没落」と同じく没落してしまったのが「選挙ポスター」ではないかと思う。

「接戦だし、何が何でも今日中に貼るぞ!」という勢いが主要政党からもなくなったらしい。もはや「ポスターを見て投票先を決める有権者は皆無」であることは、誰の目にも明らかになった。「ネットの使えない高齢者は見るんじゃないか」という意見もあるが、後期高齢者になると外出機会も減ってくるために、テレビやチラシで情報収集するので、結局のところポスター掲示場など気にしていないのだ。先の参院選でも、ポスター関係で話題になったのは「支持政党なし」の活動ぐらいであろう。

「(掲示場1枚○○万+設営・撤去の人件費+廃棄物処分料金)×14000カ所分」のコストが、費用対効果を検討することもなく、漫然と税金で処理されている。さらに、ポスター掲示場を全候補者が1枚1枚貼って廻るムダは、以前より指摘されているが、それも変える予定はなさそうだ。このポスター制作や掲示場設営の請負業者が、「一枚幾らで請け負ったか?」「それの口利きをした議員は誰?」を調べると、香ばしい話が出てきそうだし。

「猪瀬元知事の5000万円」で私がびっくりしたのは、「2012年の知事選のような無風選挙でも、そのレベルの借金が必要」という事実である。舛添前知事の「政治資金で回転ずし」等のセコい小技も、結局のところ選挙や政治に金がかかりすぎるために、(特に非世襲議員は)グレーな集金方法を取らざるを得ないからなのだ。

「専用のポスター掲示場は廃止」「ポスターはPDFファイルで各候補者が選挙管理委員に提出し、選管が合同ポスターを仕上げる」「ポスター掲示場所は、公営バスや公立病院の待合室など高齢者の目の付く場所を中心にして、さらに数を減らす」ことを提案したい。とりあえずは次の選挙をポスター掲示板なしで行ってみて、特に投票率などに影響なければ、そのまま廃止でどうだろうか?特に、元環境大臣の小池百合子氏が勝利した時には、期待したい。

 

フリーランス麻酔科医

1966年生まれ。フリーランス麻酔科医。某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、2012年から、「ドクターX~外科医・大門未知子~」「医師たちの恋愛事情」など医療ドラマの制作協力に携わる。近著に「フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方」。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
筒井 冨美
フリーランス麻酔科医、医学博士

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑