待機児童問題は女性差別とは無関係だ --- 林 健一

寄稿

女性の社会進出をサポートする事が重要だと皆が口を揃えて言います。それに関しては同感なのですが、討論番組やネット上などで行われている議論をみるとどうしても違和感を感じずにはいられません。

まず結婚や子育てのために女性が家庭に縛りつけられるのはおかしい。だから女性の社会進出を助けるために待機児童ゼロを目指すべき。

という意見はよく見かけますし、あまり反対意見もないようです。しかしまずおかしいのは、結婚や子育てのために夫婦どちらもがフルで働けなくなる状況は理解できます。ですがそもそもなぜ家庭に入るのが男性ではなく女性である前提の議論になるのでしょうか。

どちらかが家庭に入る必要があるときに、どちらが入るかはその夫婦によって相談され決められると思います。夫婦は対等です。仮に夫が女性が家庭に入るべきという主張をしたとしても妻が逆の主張、つまり自分が働きに出て夫が家庭に入って家事や子育てを担うべきと主張すれば、意見は対立していますが、女性が一方的に自分の主張を曲げる理由はありません。

その各家庭での相談の結果、どちらかが家庭に入るという選択をしています。

もちろんその結果が全体では女性が家庭に入る選択をした家庭が大半になっている現実は理解しています。実際に男性が結婚を機に寿退社すると奇異な目で見られる風潮は存在しています。ですがそれだけのことです。男性が家庭に入るのと女性が家庭に入るのは扱いは同じです。税制としても働く妻と男性の専業主夫であっても配偶者控除は同じように受けられます。

もちろん子供を産むのは女性です。なので産休など女性が子供を産むことに関して社会進出の妨げにならないようサポートすることはとても重要です。そのための法整備や補助金などを惜しむべきではないと考えています。

しかし育児は別です。育児は出産と違い男性でも女性でも出来るのでこれは女性の問題ではなく家庭の問題だからです。家庭の問題なのに待機児童問題などは必ず女性差別と紐付けて語られます。待機児童を解消する施策を財源の面から消極的な意見をいうと、「女性の社会進出は必要ないのか」と必ず返され女性差別者のレッテルを貼られます。これでは本当の議論は出来ません。

保育園に預けられた0歳児一人に対して毎月39万円の税金が使われます。39万円の税金を使って男性であろうが女性であろうが今まで家庭に入っていた人が子供を保育園に預け、パートに出て月10万から15万円程を稼ぎにいくというケースに対して疑問を感じずにはいられません。極論でいえば(そんなに極論でもないが)月10万〜15万円直接あげたほうが安上がりです。

しかしそんな議論も、女性差別はダメ、女性の社会進出はとても大切だの話にすり替えられ封じられてしまいます。

林  健一
個人事業主