【映画評】ロスト・バケーション

2016年07月24日 06:00

医学生のナンシーは、休暇で秘境のビーチを訪れる。だが、サーフィンを楽しんでいる最中に、突然の衝撃を受けて足に大怪我を追ってしまう。何とか岩場までたどり着くが、岩場の周囲では血の匂いに興奮した獰猛な人食いザメが旋回していた。周囲に誰もおらず、助けを呼ぶこともできない絶望的な状況で、何とか生き延びる術を探すナンシーだったが、満潮で岩場が沈むまで残された時間はわずかだった…。

誰もいない海の岩場に取り残されたヒロインが危険な人食いサメに狙われながらサバイバルするパニック・サスペンス「ロスト・バケーション」。大ヒット作「ジョーズ」以来、サメ映画は常に作られているが、本作ではヒロインがたった一人で戦うこと、すぐそこに岸が見えているのにたどり着けないというもどかしい状況など、個性的な設定とサバイバルの方法に創意工夫があり、上映時間90分の間、緊張感が途切れることがまったくない。亡き母に教えてもらった秘境のビーチで、将来や進路に悩む場面もチラリと描かれるが、やはり本作は、美女が鮫とガチで戦う構図にこそ魅力がある。

主演のブレイク・ライブラリーのビキニ姿はセクシーだが、むしろほぼ全編一人芝居で熱演する演技力に注目してほしい。岩場が満潮で沈むまでの時間が刻々と迫る切迫感、ナンシーが医学生という設定など、演出もなかなか巧みだ。まさかピアスにあんな使い道があるなんて。お気楽なサーファーや、酔っ払い、近くを通る船などが、ことごとくヒロインのSOSを見逃してしまう中、何とか海中に浮かぶブイまでたどり着くナンシー。その後は、文字通り、火事場のバカ力…、いや、アメリカ娘らしい強気の戦法でサメと真向勝負する。

極限状況であればあるほど、体力と知力、何より、生きてやる!という気力がモノを言うのだ。共に負傷したカモメとの“友情”が、いい味を出していた。なかなか拾いモノの小品である。
【70点】
(原題「THE SHALLOWS」)
(アメリカ/ジャウマ・コレット=セラ監督/ブレイク・ライヴリー、オスカル・ハエナダ、他)
(サバイバル度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年7月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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