ニッポン企業の弱点

2016年07月29日 09:35

いいものを持っているのに芽が出ないニッポン企業。そこそこ儲けているのですが爆発的ヒットにつながりません。ポケモンGOにしてもあれは任天堂のチカラではなくてアメリカのナイアンティック ラボとグーグルの連携であり、ポケモンはキャラクターとしての存在だけでした。つまり、日本を利用したアメリカ発のアメリカ企業による仕組みであります。同じことはiPhoneを含め、多くの大ヒット商品に同じことがいえるでしょう。

日経ビジネスに「本当はすごいニッポンの発明力」という特集があります。その前段で「実は日本が一番初めに発明、開発した商品群」というリストがあります。ロボット掃除機(任天堂)、スマホ(パイオニア)、腕時計型端末(カシオ)、ドローン(キーエンス)等でちょっとこじつけ的なところも無きにしも非ずですが、なるほど、面白いものを作ろうとする能力は高そうだといえるかもしれません。ソニーにしてもシャープにしても面白い商品は開発し続けてきましたし、あの中華料理の丸い回転テーブルだって日本人が発明したものです。

ではなぜ、その芽が成長しないのか、ですが、これは日本の組織にその理由があるかもしれません。日経ビジネスには挑戦する仕組みがない、失敗しない文化、計画ばかりやらされる、完璧主義など様々な指摘がなされています。否定する理由はもちろんありません。

私がバンクーバーでクルーザー用のマリーナを開発しようとした90年代後半、当然のことながら日本の親会社から「待った」がかかりました。理由は親会社の歴史の中でマリーナを開発、運営したことがないからです。つまり上記で言う「計画」すら立たないわけです。私は運営会社から比較的コンサバな事業計画を貰い、他の場所の運営状況も見ながら3年で満杯にする「計画」を立てました。東京側は誰も肯定も否定もできません。理由は全く判断材料を持っていないからです。ただ、投入する2億円の開発費用はどうなるのだ、ということばかり、何度も繰り返し、質問されましたので失敗したら住宅販売で回収しますとかなりいい加減な理由を述べて無理やり開発を進めます。結果として完成後、半年で61艇全てのスペースは埋まります。事業としては成功でしょう。

もう一つ、私が指摘したいのは稟議システム。日本の独特なビジネス構造の中でも際立ってユニークな存在です。今は電子書類として社内を回覧しますが、かつては関連部署が印鑑を押す仕組みです。モノを買うだけでも所属部署、総務、経理、モノによっては資材(資産)管理課、経営企画、管轄する本部などそこまで同意が必要か、というぐらい回覧されます。

そこで繰り広げられるのは「なぜ必要なのか?」という執拗な質問。逆に「なぜ、そんなことを聞くのですか?」と聞き返すと「上司に説明するから」であります。多くの日本企業は社内営業と社内の人間関係をいかにスムーズにするかに多大なるエネルギーを費やしています。

日本の稟議システムは部門間の調整機能を通じて発案を平準化させ、特徴がなく、責任も取らない独特の仕組みを作り出したとも言えます。ここで例えばこんな新製品を売りたいと稟議しても必ず言われるのが「前例がない」「成功するかわからない」「失敗したらお前、責任とれるのか」であります。(私はバンクーバーの事業の際、ことごとく「責任は取ります!」とキッパリ断言し続けてきました。)

実は全く同じことが銀行の融資にも言えます。「この企業にこの金を貸したら回収できる保証はどこにあるのだ」というセリフはドラマでよく耳にするでしょう。

つまり、ニッポン企業はサラリーマン化しすぎて面白いアイディアを展開する土壌を潰していないでしょうか?特に大手になればなるほどその傾向は強く、また、財閥系になればなるほど「社章に傷がつく」として新しいことはさせてもらえません。三菱自動車はよいエンジンを持っていたと思いますが、デザインや斬新さに欠けたため、売り上げが下がり、不正に手を染めざるを得ませんでした。個人的には社章が邪魔した典型だと思っています。

高い能力を持った人は組織を飛び出し、個人で事業を行うか、外資、ないし、海外にその活躍の場を求めます。これぞBrain Drain(頭脳流出)の典型ではないでしょうか?24年以上も海外を拠点に日本と行き来しながら実業をしていると、少しづつ日本が弱体化しているようにみえます。それは挑戦する情熱が薄くなり、うまく物事をこなすスマートさ重視になってきている社会をみてそう感じるのでしょうか?

このままではニッポン株式会社は危機的状況になりやしないか心配です。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 7月29日付より

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