TOBってなあに? もうかるの?①

2016年08月06日 06:00

TOBってなあに?

KDDIと住友商事によるジュピターテレコム(J:COM)の買収で、海外投資家らがTOBの買い付けに応じない株主から強制的に株を買い取る際の価格「低すぎる」と申し立てた主張を、最高裁が退けたのは記憶に新しいところです。TOBを投資の目線で見るとどうなるのでしょうか?「節税ヒントがあるかもブログ」のメタボ税理士さんが、全3回でTOBについて分かりやすく解説します。(M&A Online編集部)

TOBってもうかるの? と思っているみなさん。TOBの価格ってどうやって決めるの?と疑問をお持ちのみなさんこんにちは。メタボ税理士と申します。これから全3回で、「TOBと公開買付価格」について、分かりやすくお話したいと思います。よろしくお付き合いください。

まずはTOBの実例から。先日、こんな報道がありました。(※編集部注:2015年11月執筆時点)

 「イオンディライト<9787>、白青舎<9736>を公開買付けへ」
https://maonline.jp/news/20151027b

イオングループで総合ファシリティマネジメントサービス事業を行うイオンディライト(大阪府)は、総合ビルメンテナンス事業を行う白青舎(JASDAQ上場、東京都)を完全子会社化するため、同社の株式を公開買付けにより取得することを決議した。

白青舎の筆頭株主である大丸松坂屋百貨店(所有割合25.36%)は、本公開買付に応募する契約を締結している。

イオンディライトは、白青舎の子会社化により、営業力強化、コスト競争力の強化・バックオフィス効率化、業務品質の強化、事業開発といったシナジー効果が期待できるとしている。

公開買付の買付価格は1株あたり800円で、前日終値に対して140.96%のプレミアム。買付予定数は7,619,207株、下限は3,593,000株、上限は設定されていない。買付予定価額は約60億円。

買付期間は平成27年10月28日から12月10日。

本公開買付により白青舎の全株式(イオンディライトの完全子会社である環境整備が所有する白青舎普通株式(5.58%)及び白青舎の自己株式は除く)を取得できなかった場合、二段階買収により全株式を取得する予定。白青舎は上場廃止となる予定。

こちら
https://www.aeondelight.co.jp/news/….
が買い手会社側のイオンディライトのプレスリリースです。TOBの諸条件が記載されています。

そして、こちら
http://www.hakuseisha.co.jp/ir/pdf/20151027_koukaikaitsuke.pdf
が買われる会社側の白青舎のプレスリリースです。会社としてTOBに賛成する旨およびその理由が記載されています。

すごいですね。プレミアムが。

公表されたのが10月27日の夜。10月27日の終値が1株335円です。
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/history/?code=9736.T

これを「1株800円で買うよ~。」ということなので、コントロールプレミアムを140%ほど乗せたということになります。

買付予定数7,619,207株×800円=約61億円の予算となりますね。
仮に市場株価を335円とすれば
7,619,207株×(800円-335円)=約35億円のコントロールプレミアムを上乗せしたことになります。買い手さんとしては、「35億円上乗せしても勝算がある」という判断でしょう。

プレスリリースによれば、少数株主にも配慮した株価ということのようですし、仮に100%の株を集められなくても、最終的に100%にするために、その後、スクイーズアウト(用語解説はこちらhttp://www.strike.co.jp/maword/0136.html)的な方法も検討しておられるようです。

例えば、アナタがこの白青舎の株を10,000株持っていたとするじゃないですか。そうすると10月27日には、335円×10,000株=3,350,000円の価値ですよね。

で、このまま持っていて、買付けに応じれば
800円×10,000株=8,000,000円
のキャッシュを手にすることができるわけです(もちろん、譲渡益に20.42%の税金はかかりますけどね)。

株式などを譲渡したときの課税(申告分離課税)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1463.htm

ですから当然、応募前に売る人はほとんどおらず、毎日ストップ高のようです。それはそうですよね。応募者の全株を買い取ってくれる(注:全株買い取りか上限付きか、上場維持かは応募前に確認してくださいね)という条件なので、持っていれば800円になるのが確実なのでリスクがありません。

少し気になるのが、

日付 始値 高値 安値 終値 出来高
2015年10月27日 334円 335円 334円 335円 6,000株
2015年10月28日 415円 415円 415円 415円 2,000株
2015年10月29日 495円 495円 495円 495円 3,000株
2015年10月30日 575円 575円 575円 575円 4,000株

 

「28日以降に売ってるのは、誰なんだろう・・・」という話ですけど・・・。
持っていれば1株800円になる株を、あえて400~500円台で売っている人・・・ってどういう事情があるんでしょうかね。

まぁ、こんな時はネットで「TOBを知らないおじいちゃんが売りに出してんじゃねぇの?」とか書かれちゃいますね・・・。まぁ、それはよいとして・・・。

 ★ミニ知識

※TOB(公開買付け)とは

Takeover Bidの略称で、大量の株式を短期間に取得するために、新聞公告等を行い、株式市場外で対象企業の株主から直接株式の買い付けを行うことをいいます。Tender Offerと言われることもあります。

株式の買い集めについて対象企業の経営陣の了承を得ているかどうかにより、友好的TOBと敵対的TOBとに分かれます。

公募期間は最長で60営業日以内で、買付け後の株券等所有割合が2/3以上となった場合、買付者は応募のあった株式を全て買い取らなければならない(全部買付義務)とされています。なお、TOBに関する開示書類は、「公開買付届出書」「意見表明報告書」「公開買付報告書」などがあり、それぞれEDINETで閲覧することができます。

金融商品取引法 第27条の2などでは、上場会社の株を市場外で買い集める場合に、買い手側の所有割合が3分の1超になる場合などの一定の要件に該当する場合は、「公開買付」の方法によらなければならないとされています。

これは、上場会社の大量株式を市場で一般投資家の知らないところで取引することは、市場の健全性や明瞭性、投資家間の参加チャンスを損ねる可能性があることから、それを防ぐ観点で定められた制度だと思います(つまり、市場内での売買なら一般投資家も参加できるけど、もしも公開買付の制度が無かったとしたら、市場外での取引になるので一般投資家は参加できないということになってしまうのです)。

本日はここまで。次回はTOBを語る上で大事な論点となる、「善管注意義務」と「のれん」についてお話しますね。

[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん
[編集]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
原文をお読みになりたい方は、こちらから
http://ameblo.jp/h-k-tax/entry-12090046068.html


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年8月1日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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