億万長者は米株に弱気でも、S&P500は最高値で引け

2016年08月07日 06:00

Barrons160806

バロンズ誌、今週のカバーで債券投資のエキスパートが推奨する銘柄を紹介する。米10年債利回りが1.6%付近の現状で、インフレ連動債のほかエイビスやハーツといった自動車レンタル会社の資産担保証券などが挙げられた。詳細の推奨リストは、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、億万長者の投資家が一斉にベアに傾いたと伝える。抄訳は、以下の通り。

弱気に傾く億万長者、グロスやガンドラックは急落を懸念—Billionaire Bears: Gross, Gundlach Fear a Rout.

ビートルズは、「お金で愛は買えない(can’t buy me love)」と歌った。またある人は、「お金で幸せは買えない」と語った。その一方で、富は人生に一片の明るさを添えてくれる。ならば、なぜ億万長者の投資家は弱気になっているのだろうか?

債券王で知られるジャナス・キャピタルのビル・グロス氏は債券も株式も選好しないと述べ、土地と金を推奨した。1000億ドルの資産運用を行う新債券王のジェフリー・ガンドラック氏は、クリストファー・ウールの名言をもじり「何もかも全て売却せよ」コメント(筆者注;自身のファンドでは米国債保有をゼロにせずウェイトと年限を変更したと明かす)。両者はそろって、債券と株式に警告を発した。この2人だけではなくジョージ・ソロス氏やその右腕だったスタンリー・ドラッケンミラー氏、カール・アイカーン氏など物はそろって株式に「ネガティブ」だという。

S&P500は、こうした発言をものともせずナスダックとともに最高値で引けた。恐怖指数の異名を持つVIX指数は、1年ぶりの低水準で取引を終えている。前週末のラリーは、米7月雇用統計によってもたらされた。労働市場が好調とはいえ、米連邦公開市場委員会(FOMC)がすぐに利上げで対応するほど力強かったかは別の話だが。

S&P500、こう着相場を経て米7月雇用統計後に一段高。

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(出所:Stockchart)

大西洋を越えて英国では、BREXITに備え追加緩和に踏み切った。イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は金利を25bp引き下げ0.25%とし、322年間の歴史で最低の水準に設定。さらに社債の購入まで決定した。世界に過剰流動性の波が寄せるなか資産価格を押し上げ、米国の株式や債券の相場は上昇した。

自身の名を冠したテクニカル・リサーチ会社の代表であるルイーズ・ヤマダ氏は、前月の段階で株高を予想していた。とはいえ、足元の上昇は低い出来高のなかで達成され、しかも5日の米株市場でのターンオーバー(株式発行高に占める取引された株式の割合)は平均以下だった。こうした環境を踏まえ、ヤマダ氏は”強気の罠”について警告する。薄商いのマーケットで達成された夏の相場上昇は短期的であり、9月や10月に下落する傾向が高く「警戒を怠るべきではない」と語る。

FOMCの動向にも、注意が必要だ。エコノミストのコンセンサスでは、利上げは早くとも12月までお預けとなる見通しである。しかし、バークレイズのエコノミストは在庫投資の調整が一巡しつつあり、9月利上げの扉を開いたも同然と指摘。アトランタ連銀の試算では、米7〜9月期国内総生産(GDP)を3.8%増、NY連銀でも2.6%増を見込む

バークレイズはまた、中銀がイールドカーブをフラットニングさせてきた効果への限界を感じつつあるとも指摘する。特に金融株へのインパクトは甚大で、例えば保険大手メットライフ(MET)の株価は低金利のダメージを受けた決算発表により4日に9.5%下落した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は26日、ジャクソン・ホール会合で講演を行う。金融政策にヒントを与えるのか。注目だ。

——そのほか、バロンズ誌はインフラ関連株の過熱感を指摘したほか、運用会社フィデリティがロボット投資アドバイザーを導入したと伝えた。

今週のアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートが報じたように、多くの投資家が警鐘を鳴らす一方で米株をはじめ株式市場は目覚ましい強さを誇ります。米7月雇用統計で9月利上げが意識されれば下落するかと思いきや、イングランド銀行の政策決定もあって緩和政策による下支えが効いたもよう。S&P500のセクター別動向でも、リスク・オンが見て取れます。

1位 金融 1.93%高     6位 素材 0.35%高
2位 IT 1.18%高      7位 ヘルスケア 0.25%高
3位 裁量消費財 1.07%高  8位 生活必需品 0.23%高
4位 産業財 1.02%高    9位 通信 0.17%安
5位 エネルギー 0.85%高  10位 公益 1.38%安

弱気に傾き著名な投資家が正しいのか、マーケットが正しいのか。夏休み明けに、どちらに軍配が上がるかが判明します。イエレンFRB議長がジャクソン・ホール会合での講演にて金融政策への示唆を与えた後では、特に信憑性が増すでしょう。

(カバー写真:Randy Lemoine/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年8月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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