デュポン(DD)- 時代を先取る大規模事業再編

2016年08月15日 06:00

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デュポン(DuPont)はアメリカ三大財閥の1つとして1802年創業以来2世紀を超えて持続する化学製品製造企業(近年は統合的科学企業へ移行)。

デュポンは世紀ごとに全く別の企業体であり、火薬事業の100年、化学事業の100年、そして現在は化学メーカーから工業バイオサイエンス、農業・食品、先端素材などをコアとした新しい技術・事業分野へ事業再編しつつある。

Du Pontの大型の買収・事業再編の歴史

火薬メーカーだったデュポンが戦後の展望としてリスクヘッジをかけていた化学事業にシフト(反トラスト法による分割)して以来、様々な買収・売却と大小の事業再編を続けており、近年の大きな再編の動きを以下に紹介する。

医薬品ビジネスからの撤退

1991年に独製薬大手Merck(メルク)との合弁会社(50/50JV)DuPont Merck Pharmaceutical(デュポン・メルク・ファーマシューティカル)を設立し自社の医療分野を移し、その後1998年にメルクの持分を25億ドルで買収し完全子会社化(DuPont Pharmaceuticals)した。

しかし営業利益半減と成果をあげることができず、たった3年後の2001年にBristol-Myers Squibb(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)にデュポン製薬を78億ドルで売却。

当時のチャールズ・ホリデーCEOによると「規模においてもワールドクラスの会社になることができない領域からは撤退すべし」という判断での売却ということであった。

オイルメジャー・繊維事業売却

デュポンはオイルショックで石油価格が高騰したときに主力であった繊維事業等の原材料とその生産過程の燃料を安定調達する意味もあって1981年にコノコ(現コノコフィリップス)を買収した。

このコノコ取得によって原料の安定化と繊維事業の売上依存度の割合を減らすことが同時に達成できたが、巨大な石油企業が傘下であることは高付加価値事業にシフトしていきたいデュポンの足かせともなってしまった。

1940年に婦人用ナイロンストッキングを発明し、石油を原料とした化学繊維の分野でデュポンはマーケットリーダーだったが、1970年代後半以降、デュポンは以前より利益率が減少していた汎用化学品事業からの撤退を模索していたところであり、より長期的な視点で高付加価値の利益率の高い事業へシフトしていくために、両事業を売却。

1999年: コノコを売却
当時売上の4割がコノコからであった。

2004年: ナイロンなどの繊維事業を売却

当時のデュポン売上高の約4分の1の事業だったデュポン繊維事業部門インビスタ(Invista)をコーク・インダストリーズ(Koch Industries, Inc.)に44億ドルで売却。

これによってコモディティ化した製品による規模よりも高付加価値事業による利益率を重視した経営にシフト。

新たな成長領域へ進出・強化

コノコ売却資金で1999年に種子大手のパイオニア・ハイブレッド・インターナショナル(Pioneer Hi-Bred International, Inc.)を77億ドルで買収している。
微生物と種子の生産会社であるパイオニア株式の20%は1997年に17億ドルで取得済だった。

コノコ売却資金の残りは1999年に自動車塗料分野で世界最大のハーバーツの買収などにあてられた。
ちなみにデュポンの自動車塗装部門は2012年にカーライル・グループに49億ドルで売却しデュポンは自動車塗料部門から撤退した。

2011年デンマークの食品原料開発大手ダニスコを63億ドルで買収
ダニスコは天然素材を原材料とした乳化剤や機能性甘味料などの食品添加物、農産物加工、バイオ燃料に利用される産業用酵素製品の開発・製造を行っており、日本でもダニスコが開発したキシリトールは知られていますね。

デュポンの業績推移

[著]アメリカ部、 [編]M&A Online編集部
本記事は、「アメリカ部」に掲載された記事を再編集しております。
全文をお読みになりたい方は、こちらから http://www.americabu.com/dupont


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2016年8月12日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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