【映画評】ゴーストバスターズ

渡 まち子
Ost: Ghostbusters
コロンビア大学の素粒子物理学博士のエリンは、過去に発表した幽霊研究本のせいで大学をクビになる。本の共同執筆者で科学者の旧友アビーを訪ねると、なぜか一緒に幽霊退治をするハメに。やがて二人は、武器の専門家で工学者のジリアン、NYの街を知り尽くすパティとともに、幽霊退治を行う会社・ゴーストバスターズを起業し、NYに現れたゴーストの退治を始める。だが、何者かの陰謀によってNYの地下に潜んでいたゴーストたちが大量に現れ、NYのみならず世界は絶体絶命の危機にさらされる…。

 

80年代に一世を風靡した大人気コメディーのリブート版「ゴーストバスターズ」。幽霊退治を行うゴーストバスターズの活躍という大筋は同じだが、メンバーを女性に変更したのが最大の見所だ。実はこの映画、主人公たちを女性にしたという理由で、オリジナルの熱狂的ファンから大ブーイングを受けていたのだが、蓋を開けてみると、フツーに、正しく、面白い。そもそも女性にしたというだけで文句を言う方が的外れというものだ。演じている役者も実力あるコメディー俳優で、オリジナルへのリスペクトもちゃんとある。さらには仲たがいしていた親友同士が友情を取り戻すというテッパンのストーリーで構成された、危なげない作りの作品なのだ。

21世紀のリブートだからといって、過剰にハイテクには走っておらず、あのマーク、あの音楽、あのファッションで、りりしく幽霊退治を行うのが痛快。これならば旧作ファンも、今回初めてゴーストバスターズに触れるファンも一緒に楽しめるだろう。意外な掘り出し物は、オタク系の武器発明家ジリアンを演じるケイト・マッキノンのぶっ飛んだ演技だ。さらにはイケメンだが頭がヨワイ観賞用男子に扮したクリス・ヘムズワースのおバカっぷりもいい。

リケジョ(理系女子)の痛快な活躍と、ワクワクするガジェット、あくまでもライト感覚のストーリーと、夏にぴったりの娯楽作に仕上がっている。エンドロールの映像、その後のワンシーンも楽しいので、最後まで席を立たずに見てほしい。
【70点】
(原題「GHOSTBUSTERS」)
(アメリカ/ポール・フェイグ監督/クリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、ケイト・マッキノン、他)
(女子力度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。