【映画評】ダーティー・コップ

2016年08月23日 11:30

ラスベガス。中年のストーンと若手のウォーターズの、うだつのあがらない2人の警官は、押収物の横流しで小金を稼いでいた。ある時、ストーンはドラッグの売人が多額の保釈金で即時釈放されていることに気付く。不審に思って出所を探ると、マフィアの隠し金庫の存在にたどり着く。ストーンはしぶるウォーターズを説き伏せ、大金強奪の計画を立てる。ドイツから工具を取り寄せ厳重な金庫を大胆な方法で破る奇策は、誰も殺さず、誰にも知られない金庫破りの計画のはずだった。しかし計画にのめりこむストーンは次第に狂気じみていく…。

汚職警官の大金強奪計画の顛末をえがく犯罪ドラマ「ダーティー・コップ」。ケチな小金稼ぎにせいを出す冴えない警官たちの金庫破りの計画は、最初から中年警官ストーンが主導権を握り、若手のウォーターズは、いつしか巻き込まれて手を引けなくなるという構図である。オスカーを取って以来、どうも作品選びに疑問符がつくニコラス・ケイジだが、本作でも薄気味悪いまでの怪演で、イッてしまっている汚職警官を熱演。そんなケイジと、最初から計画に乗り気でない相棒役イライジャ・ウッドの、不安とあきらめが混じり合う表情の対比がいい。友人で相棒、上司と部下でもある関係のこの二人、いつどこでどんな風に壊れてしまうのかと、金庫破りよりよほどそちらの方がハラハラしてしまった。

警察腐敗は何度も映画になっている手垢のついたネタなのだが、二人の運命と金庫の中身、その後の展開には、唐突で意外な結末が待っていて、悪事の成れの果ての皮肉が効いている。名前さえ与えられない女性キャラが実は事件の鍵を握るのだが、演じているのは人気歌手のスカイ・フェレイラ。監督のベンジャミンとアレックスのブリューワー兄弟は、MTVなどで実績を積み、本作が長編映画デビューだそう。物語は典型的なB級犯罪ものながら、どこかPVのようなスタイリッシュな映像が記憶に残った。
【55点】
(原題「THE TRUST」)
(アメリカ/ベンジャミン・ブリューワー、アレックス・ブリューワー監督/ニコラス・ケイジ、イライジャ・ウッド、スカイ・フェレイラ、他)
(狂気度:★★★☆☆)


編集部より:この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年8月22日の記事を転載させていただきました(動画はアゴラ編集部で公式YouTubeよりリンク)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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