人生で何かを失うということは、何かを得るということ

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丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラスのフィールドワークが無事に終了しました。2日目は‎名酒蒼天伝で知られる気仙沼の男山本店の菅原社長、金のさんまで知られる斉吉商店(写真)の斉藤和枝専務からお話を伺いました。

もう震災から5年以上の月日が流れましたが、現地に行ってみると想像できなかったような風景が広がっています。東京では過去のことのように忘れられつつある震災ですが、東北の被災地では今でも現実として毎日向き合って生活しているのです。

本当は辛いことや苦しいことがたくさんあるのかもしれませんが、お話を伺った経営者の皆さまからは、未来志向の心強いお話ばかりを聞くことができました。「感謝」「ありがとう」「絆」「人のつながり」といった言葉の重みをずっしりと感じました。

前日の八木澤商店の河野会長のお話も含め、共通して感じたのは「人生で何かを失うということは、何かを得るということ」という前向きな捉え方でした。

被災した企業や経営者の皆さまは、工場が流されたり、家が破壊されたり「モノとカネ」を失ってしまった。経験したことの無い人には想像できないような悲しみと苦しみだったと思います。でも、震災をきっかけに全国からたくさんの支援や応援があって、代わりに現実を乗り越えられる素晴らしい人とのつながりを得られたと異口同音に語るのです。

男山酒蔵には沖縄の離島から2000円のお酒を4000円の送料で送って欲しいという注文があったと言います。八木澤商店には、醤油の生産が再開する前に1万円を送ってきて、醤油ができたら1本送ってください、お釣りはお気遣いなくという高齢のご夫婦のファンからの手紙が届いたそうです。震災は悲しい出来事ですが、それがきっかけになって、新しい生産者と消費者の関係が生まれたのも事実です。

自分が大切にしていた何かを失うということは、人生における大きなショックです。しかしコインに表と裏があるように、人生の悲しみの裏にある希望を見つけることができれば、時間が少しずつその衝撃を和らげていってくれます。そして変化の中から新しい希望を得ることができるのです。

初めて東北に足を踏み入れてから5年経ち、街の風景にも少しずつ変化が生まれているのを感じます。復興はまだまだはじまったばかりですが、次のステージに向かっているエネルギーを感じることができました。丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラスの2016秋学期でもまた東北フィールドワークを実施します。これからも講座を通じて、東北との関わりを続けていくつもりです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年9月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。