【映画評】弱虫ペダル SPARE BIKE(スペアバイク)

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ずっと一人で走ってきた巻島裕介は総北高校自転車競技部に入部する。周囲から認められ、広い世界で羽ばたくこと夢見ていた巻島だったが、彼が確立した独自のダンシング走法は、部の先輩たちから嘲笑され、走り方を直すように言われてしまう…。

渡辺航原作の大ヒットコミックを原作としたアニメーションで、TV版、劇場版も製作された作品のスピンオフシリーズをベースとした「弱虫ペダル SPARE BIKE(スペアバイク)」。自転車ロードレースに青春を捧げる高校生たちの熱いドラマを描く「弱虫ペダル」には、多くのファンがいて、魅力的な物語を紡いできたが、本作では、総北高校の巻島裕介編と箱根学園の東堂尽八編が描かれ、自転車競技部でチームを引っ張る高校3年生たちの過去が披露される。巻島裕介の自転車への熱い思いがいかにして築かれたか。おしゃれなことがモットーの中学2年の東堂尽八がその素晴らしい才能を開花させたきっかけとは。キャラクターは馴染み深いが、語られる過去は知られざるエピソードでとても新鮮だ。さらに箱根学園の荒北靖友のエピソードも。

上映時間わずか60分なので、少し駆け足になった感があるのは残念だが、弱ペダの主人公である小野田坂道を精神的に支えてきた先輩たちの苦悩や葛藤、価値観が描かれたエピソードは非常に興味深く、自転車競技への重層的な愛情が感じられる小品に仕上がっている。
【60点】
(原題「弱虫ペダル SPARE BIKE(スペアバイク)」)
(日本/監督/(声)森久保祥太郎、諏訪部順一、安元洋貴、他)
(秘話度:★★★★☆)


編集部より:この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年9月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。