男女格差を失くすと豊かな一夫多妻的な社会になる

藤沢 数希

先進国では、性差別の禁止、つまり、男女平等は絶対的に正しい普遍の正義である。日本でも、ついに若年層では女性の可処分所得が、男性のそれよりも上回ったという統計も出はじめた(全国消費実態調査)。これは、サービス業が主流になってきたため、女性のほうが接客業での需要があるからだ。男女平等の観点からは、非常に好ましい社会の変化だと思われる。

そして、男女平等の行き着く先は、自由恋愛市場での健全な競争により、実質的な一夫多妻制の社会に移行することだ。女性の社会進出と一部のモテる男性にだけ女性が集中することは、コインの裏と表である。

たとえば、婚外子比率が高い、自由な婚姻形態の国が、どういった国なのか見てみよう。いったい、婚外子比率が何と相関しているのだろうか? じつは、女性の社会進出の度合いなのだ。

各国の婚外子比率

各国の婚外子比率2

出所:オーストラリア、イギリス、アメリカ、韓国:国連World Fertility Report 2012。日本:平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る。他:Eurostat(2014年)。

世界経済フォーラムが公表している『世界男女格差レポート』を読めば、このことは歴然としている。婚外子比率が6割を突破している北欧のアイスランドは、女性の社会進出、そして、その結果としての男女平等はどの程度進んでおり、世界の中でどう位置付けられているのだろうか。

案の定、世界男女格差指数(Gender Gap Index)で、アイスランドは世界第1位であり、婚外子比率が同率で最低の日本と韓国は、それぞれ145カ国中で101位と115位となっている。この世界男女格差指数の2位はノルウェー、3位はフィンランド、4位はスウェーデンと続く。つまり、これらの男女平等が極めて進んだ国では、婚外子が非常に多く、逆に、日本や韓国のように、女性の社会進出が遅れており、男女格差が大きい社会では、婚外子が非常に少ないのだ。

考えて見れば、これは当然のことだ。女性は、モテる男性とつがいたいのであり、モテる男性は、ごく一部である。女性が時代遅れの社会規範から開放され、経済的にも自立すれば、彼女たちは一部のモテる男性と恋愛をし、そして、好きなときに子供を生むようになるからだ。もちろん、その裏側では、モテない男性が、生涯誰ともつがえなくなる。

たとえば、ノルウエーでは、生涯未婚で一人の子を持つこともなく死んでいく男性の比率は年々大きくなっている。

●A Quarter of Norwegian Men Never Father Children
http://sciencenordic.com/quarter-norwegian-men-never-father-children

●若者のセックス離れ——20代非自発的童貞率40%強の衝撃
https://cakes.mu/posts/7181

日本も少子化を改善するには、女性がもっと自由になり、好きなときに子供を産み、育てられるような社会を作っていくことが大切だろう。今週号のメルマガでは、この問題を考えてみたい。

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編集部より:この記事は、藤沢数希氏のブログ「金融日記」 2016年10月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「金融日記」をご覧ください。