稚拙な民進党の議論で天皇の生前退位制度の実現が遠のかないか

早川 忠孝

民進党が政治的には依然として未熟であることを端的に示すような出来事だろうと思っている。

国民世論の合意形成を進めるべき時期なのに、自分たちの理論に拘って纏められる話をぶち壊しにかかっているのかしら、と思わざるを得ない。

まあ、自分たちの思いの丈を存分に述べればさぞスッキリして気持ちがいいだろうが、一人が自説に拘り始めると皆、それぞれに勝手な意見を述べ始めていつしか収拾がつかなくなるような話なのだが、民進党の方々は天皇の生前退位(譲位)制度の創設を潰すためにあえてこんなことを言い出したのかしら、と思わざるを得ない。

その立場の方々からすると正論なんだが、正論と正論を戦わせ始めたらまず収まりがつかない。
結局は多数決で決めざるを得なくなるのだが、民進党は多数決で決めざるを得なくなるような状況に自民党を追い込んで、強行採決だ、強行採決だ、と攻撃する材料を確保したいのかしら、と思わざるを得ない。

幹事長の野田さんだけでなく、代表代行の細野さんまで真正面から皇室典範の改正問題に取り組むべし、などと言い始めているから、どうもこの問題についてこれから喧しい議論になりそうだ。

女性天皇、女系天皇問題や宮家創設の議論になると、国民の大多数が納得できるような結論にはまず辿り着けない。

議論に参加する人たちは楽しいだろうが、不毛な議論につき合わされる方々にとっては迷惑な話にもなる。

知恵がある人は、こういう問題に対処する時はなるべく先鋭な議論に持っていかないような工夫をするものである。

民進党の皆さんは、こういうことについては、どうも純粋だが大人の議論が出来ないようだ。

まあ、小林さんのような人は喜ぶだろうが。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年10月5日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は宮内庁サイトより)。転載を快諾いただいた早川氏に御礼申し上げます。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。