2016年のホリデー商戦、消費と雇用はQ4にポジティブ

ホリデー商戦

木々が黄金色に色づくこの頃、年の瀬が意識されつつありますね。全米小売業協会(NRF)はまるでクリスマスが待ちきれないがごとく、10月早々にホリデー商戦の予想を発表しています。以下、今回の見通しをご覧下さい。

11月から12月にかけて、ホリデー商戦の売上高は前年同期比3.6%増の6558億ドルと2015年の3.2%増(ただし当初予想は3.5%増)を超える見通しだ。過去10年平均の2.5%増、また金融危機後の2009年からの7年平均にあたる3.4%増も上回る。非店舗すなわちオンラインでの売上高は同7~10%増の1170億ドルとし、全体を牽引するシナリオを描く。

ホリデー商戦の金額ベースでは、2010年から続くトレンドに合わせ7年連続で過去最高を更新する可能性が高い。

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(作成:My Big Apple NY)

者数の予想は、64万~69万人の増加だった。仮に2015年の67万5300万人の増加に届かなければ、過去最高を記録した2013年の76万4750人でピークを打った可能性を示す。

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(作成:My Big Apple NY)

NRFのジャック・クラインハンツ主席エコノミストは、今回の見通しに対し「職と所得が安定しているため消費者が借入を基に支出する信頼感を高め、ホリデー商戦での支出拡大見通しを支える」と説明。消費者の買い物心理を冷やす要因に「地政学的リスクや米大統領選、平年を上回る気候」を指摘しつつ、「消費者の購買力を過小評価すべきではない」と結ぶ。マシュー・シェイ最高経営責任者(CEO)も、今年の消費は好調と言いづらかったものの「経済活動の回復ペースに対し短期的に楽観を維持する」と前向きにまとめた。

――ホリデー商戦は今年も3%台の伸びを達成する見通しで、米10~12月期国内総生産(GDP)を押し上げそうです。過去を振り返ると、ホリデー商戦とGDP並びに個人消費(全て前年同期比)を比較しても相関性が高いんですよね。

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(作成:My Big Apple NY)

米10~12月期GDPは、少なくとも2%に乗せてくるのではないでしょうか。人材派遣会社チャレンジャー・グレイ・クリスマスが発表した9月採用予定数では48万7075人と、今過去5年間の9月平均値の48.4万人を小幅に上回る水準となっています。

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(出所:チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス

企業別の動向でも、配送大手UPSや中低所得者層向け百貨店ターゲットは前年並みの臨時採用を行う見通しです。前年から増加、減少を示す企業でも前年を含むトレンドと乖離しておらず、ホリデー商戦の雇用は今年も労働市場を下支えする見通し。サンタクロースの訪れを喜ぶのは、子供だけではなく大人、さらには年内利上げを目指す米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーも含まれそうですね。

(出所:D1v1d/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年10月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。