NYで出会う本当にタフな人々

2016年10月22日 11:30

実はこの8月にNYの郊外に引っ越しまして、今は片道1時間半近くかけてマンハッタンに電車通勤するようになりました。今までは30分もあれば地下鉄で家に帰れたので、それに比べるといささか不便にはなりましたが、幸い通勤電車は必ず座れるため、移動中はモバイルオフィスだと考えるようにしています。近年は忙しさにかまけてブログも後手後手にまわってしまっていたのですが、この環境の変化でモノを書く時間をうまく切り取ることができそうな予感です。このポストも電車で書いていたりします。

マンハッタンでは地下鉄が24時間走っているので、帰宅時間を気にしたことなどなかったのですが、今は終電(といっても午前2時ごろまである)もあり、時間を気にしながら仕事をしないといけないので、これが良い意味でオフィスでの仕事に締め切り効果を生み出し、集中力を高めてくれています。

アパートから一軒家に引っ越したため、環境も大きく変わりました。田舎暮らしの今は何をするにも車が必要で、引っ越しと同時にスバルとトヨタを1台ずつ買いました(故障の多いアメ車は怖くて買えない)。家族で生活するには2台は必要なんですよ。余談ですが、NYも北の方に行くと雪が多いため、日本車、特にスバルの人気が圧倒的に高いです。駅の駐車場(郊外に住むと、最寄り駅までは車で行くのが普通。これをPark & Rideといいます)でざっと見ても、5~6台に1台はスバルですね。スバルの次に多いのはホンダ、次いでトヨタでしょうか。それ以外の日本車はあまり見かけません。実は、うちは父親も弟もスバルに勤務しているので、これは鼻が高いのです。

閑話休題。アパートであれば大家がいるので、メンテナンスを自分でやる必要はなかったわけですが、一軒家だと何から何まで自分でやらなければなりません。しかも、引っ越したばかりで勝手がわからず、このストーブはどうやってつけるんだっけ?この照明の配線は?このスイッチは何だ?といった感じで手探りで新居に慣れている感じです。

家電のメンテナンスや故障、季節の変わり目に冷房・暖房器具を初めてつける際は、専門の業者を呼んで見てもらう必要があるのですが、1時間のサービスで100ドル、200ドルがあっという間に飛んでいきます。田舎の一軒家暮らしも楽ではありません。

で、先日家の窓枠が壊れていたので、大工を呼んで修理してもらった時のこと。修理に来た大工と世間話になり、お互い「どこからアメリカに来たんだ?」という話になったのですが、その大工はハンガリーから5年前に来たとのこと。なぜ来たのか聞いたら、ハンガリーでの暮らしが大変で、一度アメリカに観光に来た時に、この国で働いた方が豊かな生活ができそうだから、家族で一緒に来たとのこと。ちなみに、ハンガリーでも大工だったそうです。

もう永住権は取れたの?と何気なく聞いてみたところ、実はビザはない(つまり、観光ビザで入国して、そのまま不法滞在)とのこと。これにはちょっとビックリ。つまり、彼はもう母国には帰れない(帰ったら二度とアメリカには入国できない)んです。なんか、結構壮絶な話を聞いているはずなんだけど、彼はあっけらかんとしゃべるわけです。で、こう続けました。

「でも、アメリカって面白いよね。不法滞在の俺でも会社を作れて社員も雇える。税金だって払ってるし、娘も普通にアメリカの学校に不自由なく通ってるし」。唯一の心残りは両親を母国に残していることだそうです。「まあ、でも彼らがたまにアメリカに観光に来た時に会えるから」とあまり気にしていない様子。

僕もあまり話をしみったれた感じにしたくなかったので、「税金払ってるなら、トランプよりはまともだな」って言ってお互い大笑いしました。

アメリカに住んでいると、こうしたストーリーを聞くことが珍しくないです。特に世界中から人が集まってくるマンハッタンでは多い。母国の内戦から逃れてタクシー運転手やってますとか、そういう話は結構普通に聞きます。そして、生きるために仕事をしている彼らには、自分にはない強さを感じるのです。退路のない中で覚悟を決めて生きている彼らは、本当にタフです。


編集部より:この記事は、ニューヨーク在住のスポーツマーケティングコンサルタント、鈴木友也氏のブログ「スポーツビジネス from NY」2016年10月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はスポーツビジネス from NYをご覧ください。

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鈴木 友也
スポーツマーケティングコンサルタント

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