若者の不満を代表する「極右」政党が無い日本

2016年10月28日 11:30

欧米メディアは現在米国大統領選の雲行き予想で盛り上がっているが、来年春にはフランスの大統領選も控えている。

フランスの選挙で若者票を集める極右政党

フランスの大統領選では、候補者が第一次選で過半数をとれなければ、最も得票数を集めた候補と次点の候補の一騎打ちとなる第二次選を行うという仕組みになっている。

このため、第一次選では投票者はそれぞれ自分が最も大統領になってほしいと思う人物に投票するが、それ故投票は分散しやすくなかなか一人で過半数を集めることは難しい。逆に第二次選では選択肢が二つしかないので、例えば極右政党、つまり現在であれば国民戦線( le Front National 以下FN) が第二次選まで残れば、例え対立候補がサルコジ氏であったとしても左派も中道派もFNのMarine Le Pen氏を当選させないためにこぞってサルコジ氏に投票するか、あるいは投票を棄権するという動きに出る。

実際、昨年の地方選ではPACA(Provence-Alps-Côte-d’Azur)において、FN代表のMarion Maréchal Le Pen氏が第一次選では一番人気(得票率40.55%)であったにも関わらず、第二次選で穏健右派(共和党支持層)と左派が連合して共和党候補を押した為一次選では26.48%しかとれなかった次点候補のChristian Estrosi氏に決まるということが起こった。

現在FNのMarine Le Pen氏は特に学歴の低い若者や貧困層、及び戦後生まれの高齢者層の間で着実に支持を伸ばしているが、それでも共和党および社会党を支持する広い意味での「中道派」の数を上回るのは大変困難だろうと予想されている。

とはいえ、FNの候補が個人としては主流政治家の二倍近くの絶大な人気を誇っているのは事実だ。FN候補が当選できないのは主流派が先入観で嫌っているからであり、主流政党にFN候補に匹敵する魅力のある候補がいるわけでは決して無い。

つまり、例えFN候補が大統領などの要職に手が届かないにしても、FNは確実に若年層の不満を吸収する政党として機能している、ということだ。こういう政党は、例え政権を取れなくともその存在そのものが若者にとっては重要なのである。

アメリカのトランプ氏も、米国の様々な層、特に貧しい白人の男性の不満を見事に吸収することで事前予想を遥かに上回る支持を獲得している。

英国やドイツ、果ては北欧にも、フランスのFNやトランプ氏ほどの支持を獲得していないとはいえ、若年層の不満を代表するような「極右」ないし「極左」政党が存在する。

日本に若者の人気を集める政党はあるか?

ところが日本はどうだろうか。そもそも、日本の場合は若年層の不満が「極右化」という形では表れない。しばしば一部メディアに「極右」扱いされる安倍首相を中心とする自民党は、その中でも最右翼の清和会系候補でさえ、そのアイデンティティーとなるイデオロギーはともかく政策の面では非常に(経済)自由主義的でかつ(リベラル派にも配慮した反ヘイト法案や反差別法案を出すという点で)常識的であり、若者の不満を代表する「極右」というよりは富裕層の求める社会の安定を優先する、フランスでいえば共和党的な「穏健保守」と呼ぶ方が相応しい。

そもそも一時の断続を挟みつつ、戦後長期に渡って日本の与党として君臨してきた自民党を「極右」と呼ぶのはさすがに無理がある。

また、時折自民党を脱党して主流派よりもさらに「右」を目指す「たちあがれ日本」などの動き時々見られるが、これも若者の支持を集める「極右」政党とはほど遠い。逆に最左翼の日本共産党も過去には一部で過激活動も噂されるほどであったようだが現在では「護憲」を標榜するなど極めて現状維持的な穏健かつ保守的な政党へと変質している。

過去に存在した「日本維新の会」や「民主党」はそれぞれ一時的とはいえ一定の若者の支持を集めたが、結局現在ではこの二つが合流して出来た「民進党」の人気は低迷しているし、そもそも維新や民主が掲げた政策及び民進党の政策は誰が見ても「極右」的でも革新的でもない。

日本の若者は「満足」しているのだろうか

日本において若者にとって魅力のある「極右」政党が誕生するとしたら、それはどんな思想に基づく、どんな政策を唱える政党になるのだろうか?否、そもそも日本の若者は何に最も強く反対し、何に最も憤っているのだろうか?

欧州の場合は比較的単純だ。若者はリベラリズムの欺瞞に嫌気がさしている。左翼の嘘にも、移民の犯罪にも、改善しない失業率にも、賃金の安さにも、グローバリゼーションにも、(非英語圏の場合は)英語にも、外国人にも、全て「リベラル」で「近代的」なものに嫌気がさしている。もういいから、とりあえず外国人を追い出してくれ、少なくともこれ以上入れないでくれ、そういうことを言わせてさえくれないリベラルを叩きのめしてくれ、というのが怒れる若者の叫びである。

日本の(現在の)若者はどうだろう。振り返って見れば、過去には就活に反対するデモが毎年のように行われていた。また最近では「シールズ」による安保反対運動があった。だが、それらはいずれも主張としては極めて穏健で大人を怯えさせるような「過激さ」を欠いたものだ。

就活に関しては、就活が嫌ならしなければいいし、別の方法で仕事を探すことは日本国内でも出来る上、そもそも日本国内で働かなければならないという義務規定などないのだから海外に出てしまえばいいだけの話である。

安保法案に関しても、若年層の徴兵がそこに含まれているのならともかく、大多数の若者にとって直接関係のない事案であり、この法案に反対することは決して「若者」にしかできないことではない。むしろ一部の若者の特殊事例的な活動を大人のリベラル派が中心となって盛り上げた感さえあり、シールズが特に「若者」の意見を代表しているとは私には思えない。(少なくとも同じ若者である私は、デモを行う行動力やそこで演出した華やかさという二次的要素には一目置くにしても、肝心の主張の内容には全然賛成していない。)

では、日本の若者の本音は結局どこにあるのだろうか。

日本の若者は、実は世界でも稀に見るほど幸福で不満など何もないのだろうか。

そんなはずはない、と私は思う。少なくとも私自身は全然満足などしていない。

そこで私は敢えてこの場で、私が個人的に不満に思っていることをいくつか表明してみたいと思う。誰も何も言わないなら、誰かが何かを言うべきであろう。例えそれが間違っていて発言者の無知を公衆に晒け出すだけだとしても。ということで少々過激かもしれないが、心ある大人の方に参考にしていただければ幸いである。

まず、教育制度。特に、誰のためにあるのかわからない大学受験制度。こんなものは全然要らない。受験エリートにとっても、否真面目に受験勉強をするエリートにとってこそ受験勉強は時間の無駄以外の何でもない。東大生が受験勉強に使った時間を他のことに使えていればどれほど社会が効率化するかわからない。また下らない精神論教育もいらないし体罰教師など以ての外だ。セクハラや性犯罪に走る教員など同情の余地もない。

また、国公立大学が有料なのもいただけない。政府は貧困層に対して「奨学金」を拡充させることで適当に誤魔化そうとしているようだが、最初から全部無料にすれば済む話だ。要するに実際には金を出し渋っているだけなのに、まるで弱者に配慮しているかのようにアピールするのが実に腹立たしい。そんなことをするくらいなら「金のない奴は大学へ行くな」とはっきり言ってくれた方がまだマシなくらいだ。

次に社会保障。外国人に対する特別補償も意味不明であるが、それ以前に社会保障や教育予算を削りながらも何故か継続している外国や国連への資金提供、および「思いやり予算」などのまるで植民地のような国家的搾取被害を全て停止せよ。完全に停止できないまでもせめて抵抗する姿勢くらい見せてくれなければ国内の弱者は納得しない。この無駄遣いこそが日本における外国人嫌悪に繋がっていることを政府は自覚すべきだ。

また、学校等における「いじめ」を政府は最近問題視するようになってきたが、その背景には若年低学歴層の貧困があり、つまり社会保障に救われない人々が多くいることがそのまま学校における「いじめ」という形で表れているということに気づくべきだ。

最後に政府や大企業などの「人気就職先」とされる職場内部の不祥事。権力の内側がある程度腐敗するのは仕方ないにしても、日本で事件化して表に出てくる不祥事はあまりに酷すぎる。内部で自殺者を何人も出していることが絶望的なほど異常であることを自覚すべきだ。

まだまだ書き足りないが、これ以上不満ばかり述べても仕方がないのでこの辺りでやめておく。また、以上は私の勝手な意見であるし、私と異なる意見を持つ若者も多くいるはずなので私の意見が若者を代表していると主張するつもりもない。

ただ、もしこのような意見に共感する若者が多くいるのだとしたら。そういう若者の声を全面的に代表してくれる「極右」政党が出てくることを私は敢えて待望したい。出てこないなら、若者同士で集まってつくってしまってもいい。そのくらいやらなければ、日本の若者は年配の大先生方に潰されてしまうだろう。社会を変えよと言うのではない、革命を呼びかけているのでもない。ただ、黙ってないで何か言おう、声を形しようというだけだ。それだけでも、少しは意味があるのではないかと、フランスを見ていて私は思う。

 

 

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